金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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19:夏目漱石 『門』

2009-07-02 21:14:32 | 09 本の感想
夏目漱石『』(新潮文庫)
★★★★☆

『三四郎』『それから』に続く三部作の完結編。
世間とのかかわりを最小限にして、ひっそりと暮らす
宗助とその妻・御米。
なにやら訳ありらしく、後ろめたい過去を垣間見せる
二人の淡々とした生活が描かれる前半。
後半には思いがけなく目の前に立ち現れたその過去
――宗助は友人から御米を奪った――に動揺する
宗助の迷いと苦悩が描かれる。

過去が明かされたところで、
「盛り上がってまいりました!」
と思ったら、いきなり宗助が禅寺に行ってしまい、
ポカーン……
宗助の苦悩は、御米とは共有できないものだというが、
自分が禅寺に引きこもってる間に、
御米が安井と顔を合わせるかもという心配は
しなかったんだろうか?
『こころ』のお嬢さんほど「お人形」ではないけれど、
御米も「役割」だけの登場人物といった感じ。

メロドラマを期待していると、過去のエピソードでは
肩透かしを食わされる。
そこが知りたいのにね。
コメント
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