金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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現在、記事の整理中。

34:細川重男『執権 北条氏と鎌倉幕府』

2022-03-08 00:04:20 | 22 本の感想
 細川重男『執権 北条氏と鎌倉幕府』 (講談社学術文庫)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。
なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。
執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは。
承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、
蒙古侵略による危機の中、得宗による独裁体制を築いた時宗。
この二人を軸にして、これまでになく明快に
鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考! 

****************************************
 
承久の乱以降の鎌倉幕府のこと、ほとんど知らなかったので、
時宗の暴君ぶりにびっくり。
時宗は伝記なんかで救国の英雄の扱いをされていたし、
早死にしていることは知っていたから、
なんとなく儚くクリーンなイメージを持っていた。
全然違うじゃん!!

蒙古襲来という危機に際して、権力を一カ所に集中させなければ
ならないという事情があったにしても、蛮族すぎる。
潜在的脅威というだけで、謀反の証拠もない異母兄や
名越流の親類を殺す。
大陸からの使者も、とりあえず殺す。
積極的に高麗に攻め入る計画まで。

大河ドラマ「北条時宗」は、途中で脱落して
ちゃんと見ていないのだが、
時輔が生き延びてモンゴルへ渡るという展開があり、
後年、これに対する文句をネットで目にした。
しかしこれ、ドラマ独自のトンデモ展開ではないのね。
時輔が生存していて、蒙古とともに攻め上ってくるという噂が
当時、日本国内にあった模様。

時政の後継者候補のひとりが義時の息子・朝時だったというのも
びっくり。
でも確かに、名越邸を継承しているものね。

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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯9

2022-03-06 21:28:00 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第9話「決戦の前夜

頼朝と坂東武者たちとの意識のズレ、
ちゃんと描いてるこのドラマ、信頼できる。 

兵糧も尽きかけて、留守にしていた所領も心配だということで、
千葉常胤も上総広常も帰ろうとしてる。
背中を見せた平家を追いたい頼朝と、 
追討軍を追い払ったらもうよい、と考える坂東武者たちの間で
板挟みになって困っちゃう義時……なのだけど、
この「意識のズレ」ひとつで、時政の名誉回復と
頼朝の義経受容を両方処理したところ、
作劇上のうまさを感じて感心してしまった。

八重、 最初から好感度が低すぎて、
まだ出るのか~~とちょっとうんざりしている。
江間次郎が八重を殺せなかったのは予想通りなのだけど、
八重が彼に「来て」と言っただけで
思いは報われたんだろうか。
再びのアサシン善児の登場で次郎が殺されちゃって
そりゃないよ~!!

【その他いろいろ】

・ 「あんなじいさんでも俺の身内なんでね」
 って、爺様を守るために義盛と重忠の前に立ちはだかる義村、
 かっこよかったけど、
 あなたがそんなに身内を大事にする人間だったなんて知らなかったよ!
 (後年、二度に渡って身内を裏切ってる)
 八重に差し出した手をスルーされる場面、 
 どういう意図で入ってたんだろ、あれ。

・ 頼朝、いつか暗殺されるやろ、この口の悪さ。
 メンツ潰されたら殺すぞ、坂東武者は。
 時政、絶対もう頼朝のこと嫌いだよ。
 石橋山での一件もあるし。
 今回坂東武者の代表として意見を言い、
 頼朝に見直されるという場面はあったけど、
 あんなもんで罵詈雑言が帳消しされるとは思わない。
 

・ りく、神仏を信じないリアリストかと思ったら、
 全成の風水指南を受け入れて壺を置いてた。

・ 武田と頼朝、作り笑顔でマウンティング合戦

・和田義盛「俺達とは一回しか飲んでないのに、佐殿が武田と飲んでる!」
 相変わらずアホ可愛い。

・「 こっちとあっち、どっちをとるのよ!?」
 面倒くさい彼女二人(義村と頼朝)に 選択を迫られる義時。
 義村には坂東武者だと言ったけど、頼朝に対しては応えられず、
 孤独な頼朝→弟義経登場、の流れは本当にうまい。

・ 広常、 見栄え気にしてる

・「 俺を殴ってくれ」 というおじさんたちの青春シーンが
 まさか富士川の水鳥の話に結びつくとは。

・ 今回も義経は自由すぎた。
  奥州から結構な長旅をしてきたはずなのに、
 懐から出した秀衡の文がピンピンと綺麗すぎる
コメント (2)
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33:永井路子『日本夫婦げんか考』

2022-03-01 13:35:07 | 22 本の感想
永井路子 『日本夫婦げんか考』
★★★☆☆

【目次】
われらが祖先はかく戦えり――伊邪那岐命・伊邪那美命
やきもちニッポン事始め――磐之媛皇后と仁徳天皇
天平の王者は奥様本位――聖武天皇と光明皇后
優雅な王妃の投石――藤原安子と村上天皇
王朝美人は強かった――「蜻蛉日記」の作者と藤原兼家
うかれ女 離婚始末記――和泉式部と橘道貞
浮気のいましめ――茨田重方とその妻
過保護パパの代理戦争――高倉帝と徳子・平清盛の場合
徒労を重ねた正義派夫人――北条政子と源頼朝
妻の根性夫を走らす――日野富子と足利義政
不信のなかの裏切り夫婦――織田信長と濃姫
戦国〝女性外交官〟の怨念――徳姫と信康
歴史に残る痴話げんか――豊臣秀吉と禰々
夫に与えた強烈パンチ――前田利家とおまつ
奇妙なけんかの奇妙な結末――細川忠興と玉子(ガラシャ)
貞女の頭脳プレ――山内一豊とその妻
忠臣蔵にみる偽装離婚――大石良雄と妻りく

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Kindleの99円セールにて購入。
読み上げ機能で、仕事や掃除しながら聞いていた気軽な読み物。
初版が2006年だということで、
さすがに古いと感じるところもあるのだけども、
楽しく聞いた。
もともとデータがなく、OCRスキャンみたいなことしたのか、
ところどころ誤字があって「??」になるところも。
(「舅」が「男」になっていたりする)
知っている人物やエピソードがほとんどだったけれど、
あまり歴史に詳しくない人にとっては
興味を持つきっかけになっていいかも。

コメント
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