きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

クールで大赤字の血

2011-05-01 | 父の記録と母の思い出
昨日は珍しく父が起きていて、看護士さんに付き添われながら、自分でスプーンで食べているようだ。

父の病院では自分でできる事はなるべくするようにしているそうである。
父は目がよく見えないので、残り少ない食べ物をすくう事ができないのだが、すくえば口に運ぶ事はできるのである。

それでも食べる気がなかったり眠かったり、食事に意識が無いと食べ物を持っていくことができない。
この何回か、そういう場面ばかりを見てきたが、今日は口に運んでいる。
かぼちゃのマッシュ?みたいなものを食べ終えたので、今度はご飯だよ、と言ってお茶碗とスプーンを手に乗せると、また食べようとする。
今日はよく食べれるようだ。

今日は「sakeだよ」と言うのもどうでも良くなってしまった。
sakeだよと言っても、1分後には忘れてしまうし、そもそもsakeが誰なのか、それでうれしいと言う気持が一瞬でも起きるのか、今の父ではビミョウな所だ。それより、食事に集中して少しでも栄養を取ってもらおう。。。。

と思いながら、妹はこうではあるまい、と思った。
妹は自分の名前を優しく名乗り、姪っ子や時にはkekeの話まで優しくしているだろう。。。いつだか「少しでも長く私達を覚えていてほしいから」と言っていたっけ。
同じ姉妹でどうしてこうも違うのか、しかも現役時代、迷惑を掛けたのは私の方だ。そしてろくに面倒を看てないのも私の方だ。父は私に関しては与えるものを与えただけで見返りらしきものは無く、損得で言えば大赤字だと思う。そして私はkekeに対しては心配をすれど返って来るものはほとんど無いと思われる。仕方あるまい。私から始まった代々の大赤字の遺伝の血。(そんな事はどうでもいいか。。^^;)

父が食事もどうにかスプーンで完食し、まだ意識もあるので、裕次郎の歌でも聴く?と言うと、ウンと言うので、「二人の世界」をかけた。
しかし、聴きながら父は寝てしまい、今更わざわざ起こしてすぐに忘れてしまうような会話をするより、眠いなら寝ていた方が体にも良いような気がして、そこでぼぉ~っとした。

今日はGWだからか、何人かご家族がお見えになっていて、おばあさんを看護士さんとトイレの前まで連れて行き、トイレの前で見送る息子さんが居た。
なんて優しい息子さんだろう。。。私なんて、父がトイレに行きたくなったら、看護士さんにお願いしてオシマイである。その後どうして良いか分からないからである。kekeも私をトイレの前まで見送るような息子にはならないだろう。クールで大赤字の血。

父がずっと寝ているので、私はそれじゃ、とシアワセばあさんに言って帰ろうとすると、「あら、もう帰るの?」と父を起こして「娘さんが来てて、うれしいでしょ」と言う。
父はテキトウに「うん」と返事をするが、また寝てしまう。

ちょっと前だったら(目が見えないので)「娘?ここにいるの?」と返事をして、ばあさんに「居るわよ!」と突っ込まれていたが、もう父もテキトウである。(最近はもう「娘」と言う概念が無いのかもしれない。)

こうやって周りを見渡すと、オンナの方が元気である。
騒ぎながら浮遊しているのも、看護婦さんの気を引こうと懸命なのも、うるさく騒ぐのもばあさんの方。
まぁ、何となく分かる気もするが。。。。

私はこう言う所に入る日には手の掛からないばあさんになりたいと思う。