昨日、プロ野球が開幕しましたが、電力不足が問題となっている東京電力管内を本拠地とする巨人は、宇部で開幕を迎えました。そして、今日は北九州です。
巨人としては(というか、早期開幕や、東京でのナイトゲームにこだわっていた爺さんたちとしては)、今の事態が歯がゆくてしかたないでしょうが、長い目で見れば、悪いことではないかと思います。
巨人・大鵬・卵焼きと言われた時代から、高度成長期を通じて巨人人気は全国区でしたが、長嶋監督、松井秀喜が去ると同時に、巨人人気に陰りが出てきました。
しかし、長嶋監督・松井秀喜はあくまできっかけで、時代の必然でしょう。全国ネットでテレビ中継されるのが巨人だけだったので、必然的に巨人は全国区となり、豊富な資金力で選手を集め、長嶋・王・江川・原・桑田・松井といった生え抜きのスターを揃え、その人気を維持していたのです。
しかし、世の中が成熟化してくると、高度成長期のように誰もが同じものを求める時代ではなくなります。車だって、カローラから「いつかはクラウン」を目指していたものが、BMWやVWなど外車にこだわる人もいれば、ミニバンなどライフスタイルに合わせる人、軽自動車で十分という人、果ては車なんてなくていいという人まで、価値観はさまざまになってきます。
ということで、プロ野球球団も、東京・大阪に集中していたものが、福岡、北海道、仙台などの地方に分散していきました。マスメディアもBS、CSなど多チャンネル化で、スポーツ中継は地上波よりも衛星チャンネル向きのコンテンツということで(加えて巨人は地上波の視聴率低迷で)、地上波の全国中継は一気に減りました。
こういう状況で巨人が取るべき戦略は何かということですが、東京という土地で、福岡、札幌、仙台のようなローカル色の強い地元意識に根差した人気を獲得するのは難しいと思います。衛星チャンネルのコンテンツとしての価値や、日本シリーズ時の地上波中継の価値を高めるためにも、やはり全国区の人気をある程度目指していく戦略になるのだと思います。
そのためには、全国の人にアピールしなければなりませんが、全国中継が大きく減ってしまった中で、東京ドームだけ試合をしていても効果はあがりません。昨日の宇部での開幕戦では、観戦に来ていた小学生が興奮して前の晩眠れなかったといっていました。普段、なかなかプロ選手をじかに見る機会がない地方では、こうした人がたくさんいるはずです。
毎年、地方で数試合はありますが、今回のことを検証し、もっと全国各地での試合を増やした方がいいのではないかと思います。今回の首都圏以外での開催は、震災の影響でやむを得ない結果ですが、禍転じて福となす可能性もあると思います(でも、巨人の体質では無理か…)。