11月末のNHK杯で、SP106.33点、フリー216.07点、総得点322.40点と、3つの世界最高得点を叩きだし、「異次元のスケート」、「どこまでいくのか」と評された羽生結弦選手ですが、今日のグランプリファイナルのSPで、110.95点を出し、再び世界最高得点を更新しました。
本当にこの選手はどこまで行くのだろうと思わされます。
羽生選手の前に滑ったのが、NHK杯でも羽生選手の気持ちに火をつけた金選手でした。金選手が飛ぶ4回転ルッツ・3回転トーループは、現在世界最高難度なのだそうです。確かにジャンプは素晴らしく、18歳という伸び盛りのキレを感じさせます。しかし、素人目に見ても、全体的な完成度や美しさは、圧倒的に羽生選手が上回っていました。それが出来栄え点に反映され、大きな差となったのでしょうね。金選手も悪くはありませんでしたが、NHK杯の95.64点より落とし86.95点でした。
しかし、もっとも羽生選手がすごいと思うところは、他の選手に負けないという気持ちではなく、自分自身に負けないというメンタルコントロールのすごさです。普通は、なるべく緊張しないように、緊張しないようにと思って、失敗するものです。しかし、それが普通なので、それを責めることはできません。ところが、羽生選手は、「緊張するだろう」、「すごいプレッシャーだろう」とあえて口にします。そして、そのような「緊張する自分」というものを意識した上で、それに対処しようとしているところです。
年をとってもなかなか出来ないことを、21歳にしてやってのけるところが、この若者の一番すごいところだと思います。
明後日は、またこれまで以上のプレッシャーがかかってくるでしょう。それを乗り越えて、また新たな異次元を見せるのか、それとも、さらに高みを目指すために、一度かがむのか。いずれにしても、彼にとって、無駄な経験はないでしょう。
余談ですが、スペイン・バルセロナで開催されているグランプリファイナルですが、会場ではハビエル・フェルナンデスを応援する地元スペインの旗よりも、日本の日の丸の方が多かったですし、会場の広告も、キヤノン、シチズン、有馬記念、アコム、木下グループ、タケモトピアノ、ECCなど、ほとんど日本企業でした。
男子は羽生、宇野、村上と6人中3人、女子は浅田、宮原と6人中2人が出場する日本の強さもさることながら、日本の熱心なファンが世界のフィギュア界を支えていると言っても過言ではないと思います。それも、男子で言えば高橋大輔から羽生結弦、女子では浅田真央というスターの存在抜きには語れませんね。男子は、高橋から羽生へと代替わりがされていますが、女子は浅田頼みから抜け切れていません。宮原は手堅いですが、ジャンプの高さがなく華にかけますし、本郷は今回ファイナルは逃しましたが、大柄で華がありますが、浅田を超える「何か」はまだ持っていません。10年間日本、いや世界を背負ってきた選手を超えるのはなかなか大変なことです。