武蔵野の面影が残る東京都調布市に広さ46万㎡を有する都立唯一の植物公園「神代植物公園」はある。昭和60年に回遊式「水生植物園」が開園、平成28年に「大温室」を開園リニューアルオープン。園内には「噴水広場」、「植物会館」、「芝生広場」、「ドッグラン」「バラ園」などがある。園内には約4,500種類、10万株の植物が植栽されており梅、桜、ツツジ、バラ、紅葉と自然が織り成す四季折々の変化を見せてくれる公園である。園内の施設の一つ、切れ目の入ったドーナツ型の「回遊式の大温室」には約1300品種を有する熱帯・亜熱帯の植物の花木室、熱帯スイレン室、ベゴニア室がある。年中花が咲き乱れ南国情緒たっぷりの空間エリアである。その中でもカラフルでひと際華やかなのが「ベゴニア室」である。ベゴニアはフランス人ミシェル・ベゴンに由来し、シュウカイドウ科シュウカイドウ属に属する植物の総称で2,000種以上あると言われ原種を交配し多くの種や品種がつくられた。葉の形が左右非対称でやや歪んだ形が共通の特徴、花は雌雄別であり雄花は4枚、雌花は5枚の花びらをもっている。種類としては「木立ち性ベゴニア」、「根茎性ベゴニア」、「球根性ベゴニア」、「球根ベゴニア」などあるが素人には区別がつかないのが残念である。花は小輪から大輪とあり大輪の花径15cmもあり豪華である。花色も豊富で赤、朱色、黄色、ピンク、白、赤紫とあり他に絞りや覆輪のものもある。「ベゴニア・センパフローレンス」がおそらく日本で一番ありふれたベゴニアで「四季咲きベゴニア」と呼ばれている。葉の形が左右非対称で歪んだ形をしていることから花言葉は「片想い」、「愛の告白」である。(1911)
調布市深大寺元町にある「神代植物公園」の「大温室」内の一角に「水の妖精」と言われている「熱帯スイレン」(tropical water lilies)エリアがある。スイレン科スイレン属の植物。世界各地の熱帯、亜熱帯と一部湿帯に約40種分布している。ここ大温室内には寒さに弱い熱帯スイレンが展示されている。ピンクの「ジェネラル・パーシング」、紫の「ミッドナイト」、黄色の「トレイル・プレイザー」、白の「ニンフェア・ギガンンテマ」(アルバート・デ・レスタング)と「ホワイト・コロラーダ」、レモンイエローの「エルドラド」など100輪ほどがため息が出るような色鮮やかで派手すぎる花色、花姿を披露し上品な甘い芳香を放っている。熱帯スイレンには湿帯スイレンにはない青や紫の花をつける品種がある。夜咲きの系統があるというのも熱帯スイレンだけのようである。昼咲きの系統は朝開花し夕方に閉じる。暑さに強く長期間(6~11月)咲くスイレンの花は「3日花」で毎日違う花の表情や美しさを見ることができる。特に希少な青や紫のスイレンはまるで発光しているかのようで輝かしい。(1911)