伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

春画

2022-06-11 22:43:01 | 人文・社会科学系
 江戸時代以前の肉筆春画から江戸時代の浮世絵春画に至るまでの代表的な作品をカラー図版で掲載し紹介した本。
 男女の(男男、女女もありますが)交合の様子を、特別な場面としてよりも、日常的に、ところ構わずという風情で描き、仲のいい庶民の夫婦、新婚夫婦のみならず中年の夫婦や老年の夫婦の性行為がしばしば描かれているのが日本の浮世絵春画の特徴なんだそうです(58~68ページ)。江戸時代の記録からは、女性も春画を楽しみ、春画を恥ずかしいものとしてではなく宝物として堂々と扱っていたとわかるというのです(126~131ページ、252~254ページ)。なんだか微笑ましいですね。図版を見ても、「ひわい」ではありますが、「いやらしい」という印象よりは、微笑ましく思えるものが多いと感じますし。
 江戸時代の享保の改革、寛政の改革、天保の改革での好色本の発禁令では、春画本は取り締まられても肉筆の春画は取締対象ではなかったとか(46ページ)。大衆向けは禁止でも大金持ちしか買えないものはOKなのか、「芸術品」は別扱いなのか…
 歌川国貞「吾妻源氏」上巻裏扉絵の陰毛(227~229ページ:閲覧注意)の例で、密集した箇所では1ミリあたり3本は彫られていると紹介されています。技術レベルにも目を見張ります。


早川聞多 角川ソフィア文庫 2019年1月25日発行
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