検察官の不起訴処分について審査する6か月任期の11人の一般人からなる検察審査会について学者の立場から検討し解説した本。
検察審査会は戦後すぐ検察官改革としてGHQが、アメリカ同様の大陪審(一般人からなる大陪審が起訴・不起訴を決定する)と検察官公選制(検察官を選挙で選ぶ)を提案したのに対し日本の官僚側が猛反対して、その妥協の産物として不起訴処分だけを審査ししかもその議決に拘束力がない検察審査会という世界に類を見ない日本独自の制度が創設されて発足したのだそうです(47~52ページ)。
その検察審査会が、経済界の要求に沿った「司法制度改革」の機運と犯罪被害者の権利運動、さらには福岡高裁判事の妻のストーカー事件で検察官が被疑者の夫である裁判官に捜査情報を流したというスキャンダルの影響で、議決による強制起訴を認めるという法改正が成立して権限が強化され、これまでに10件(14人)の強制起訴がなされているのですが、有罪となったのは2件だけということが紹介されています。この本では、福島第一原発事故について東電元幹部3人が強制起訴された事件などを挙げて刑事事件として無罪になってもこの手続がなければ闇に葬られていたことが多数明らかになったことなど、強制起訴の意味はあったと評価しています。
ただ、華々しく報道される強制起訴の事件の陰で、初期と比較すると、近年、検察審査会の職権による審査開始事件が減少し、検察審査会のもう一つの権限である検察に対する建議・勧告が激減し(87~91ページ)、検審バック(不起訴不相当、起訴相当)の件数・割合は大幅に減っている(94~101ページ)、つまり検察審査会は権限が強化されたものの現実には以前よりも慎重で消極的になってきているというのは気になります。著者らは、検察官が検審バックされた案件を起訴する(判断を変える)割合が高くなっているとか、さらには検察審査会が存在することでそれを考慮した検察官が起訴するケースが多くなっている(それを検証することはできないが)ことが検察審査会の重要な意義と評価していますが、起訴件数が増えればいいのかという疑問とともに、本来の仕事を地道に行う点でマイナス傾向なのを「プレゼンス」で正当化するという姿勢でいいのかなという思いを持ちました。

デイビッド・T・ジョンソン、平山真理、福来寛 岩波新書 2022年4月20日発行
検察審査会は戦後すぐ検察官改革としてGHQが、アメリカ同様の大陪審(一般人からなる大陪審が起訴・不起訴を決定する)と検察官公選制(検察官を選挙で選ぶ)を提案したのに対し日本の官僚側が猛反対して、その妥協の産物として不起訴処分だけを審査ししかもその議決に拘束力がない検察審査会という世界に類を見ない日本独自の制度が創設されて発足したのだそうです(47~52ページ)。
その検察審査会が、経済界の要求に沿った「司法制度改革」の機運と犯罪被害者の権利運動、さらには福岡高裁判事の妻のストーカー事件で検察官が被疑者の夫である裁判官に捜査情報を流したというスキャンダルの影響で、議決による強制起訴を認めるという法改正が成立して権限が強化され、これまでに10件(14人)の強制起訴がなされているのですが、有罪となったのは2件だけということが紹介されています。この本では、福島第一原発事故について東電元幹部3人が強制起訴された事件などを挙げて刑事事件として無罪になってもこの手続がなければ闇に葬られていたことが多数明らかになったことなど、強制起訴の意味はあったと評価しています。
ただ、華々しく報道される強制起訴の事件の陰で、初期と比較すると、近年、検察審査会の職権による審査開始事件が減少し、検察審査会のもう一つの権限である検察に対する建議・勧告が激減し(87~91ページ)、検審バック(不起訴不相当、起訴相当)の件数・割合は大幅に減っている(94~101ページ)、つまり検察審査会は権限が強化されたものの現実には以前よりも慎重で消極的になってきているというのは気になります。著者らは、検察官が検審バックされた案件を起訴する(判断を変える)割合が高くなっているとか、さらには検察審査会が存在することでそれを考慮した検察官が起訴するケースが多くなっている(それを検証することはできないが)ことが検察審査会の重要な意義と評価していますが、起訴件数が増えればいいのかという疑問とともに、本来の仕事を地道に行う点でマイナス傾向なのを「プレゼンス」で正当化するという姿勢でいいのかなという思いを持ちました。

デイビッド・T・ジョンソン、平山真理、福来寛 岩波新書 2022年4月20日発行