伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

アンチ整理術

2022-07-05 22:03:27 | 実用書・ビジネス書
 「整理」をキーワードにして、思考や人間関係などを論じた本。
 「まえがき」で、「僕にはその方面の『整理術』というものはない。はっきりいってしまうと、必要がなかったのだ。整理する時間があったら、研究や創作や工作を少しでも前進させたい、と思っていた。無駄なことに時間を使うなんて馬鹿げている」「それを書いてしまうと、ここで本書の一番大切な結論はお終いとなる」と言い切っています(12~13ページ)。「片づいているから仕事が捗る、といった感覚は、少なくとも研究者の間には見られない。むしろ逆で、片づいていない部屋の主の方が、研究が捗っている場合が、僕が認識する限りでは多かった」(35ページ)とも。我が意を得たり、というところです。私は、事務所も自宅も、とっちらかしているもので (^^;)
 仕事について、やりたくないと思う気持ちを切り換える必要はない、「『嫌だな』と思っている、そのままの状態でやる。それが正解である。嫌な気持ちを『やりたい』気持ちに切り換えるのは、かなり難しい。それよりも、『嫌だ』と思いながら作業を始める方が、ずっと簡単なのだ」(43ページ)というのは、至言というべきかもしれませんが、同時に抵抗感もあります。「仕事であれば、その本質は何だろうか?人によって違うと思われるが、多くの場合、賃金を得ることが目的である。自身を成長させるため、誰か他者の機嫌を取るため、世間体のためなど、いろいろな雑念があるかもしれない。ときどき、その第一の目的を思い出して、目の前の小さな問題を俯瞰してみることで、少しは冷静になれるだろう」(162~163ページ)とか、「得意なことは好きなことではありません。たまたま一致していると、働きすぎて、健康を害することになります」「得意なものをいやいややっているのが理想的です」「嫌なものや、苦手なものだからこそ、効率を上げたいですよね。自然な方向性だと思います。ただ、好きになろう、と勘違いしないこと。嫌いなままで良く、単に効率を上げることに専念するだけです」(204~205ページ)など、整理術的な部分より、仕事に関する捉え方、幾分突き放した見方の方にいろいろ感じるものがありました。


森博嗣 講談社文庫 2022年3月15日発行(単行本は2019年11月:日本実業出版社)
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