伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

祝祭の陰で 2020-2021 コロナ禍と五輪の列島を歩く

2022-07-04 23:04:03 | ノンフィクション
 ホームレスや失業者、非正規労働者などの生活苦にあえぐ人々やさまざまな災害の被災者などを取材し、現在の日本の現状と、その中でオリンピックを強行しようとし強行した政府の姿勢を批判的に描き出した共同通信配信記事をまとめた本。
 生活に苦しむ人々を放置してオリンピック実施を優先することへの批判が基調ですが、オリンピックへの出場や聖火リレーを希望していた人たちの延期の際の失意等も書いていて、バランスを図っている感じもします。著者がそういう配慮をするようになった/丸くなったということなのか、共同通信の取材という枠組みのせいかはわかりませんが。
 ネットカフェ難民が、自分で生活保護申請をしたときには窓口で追い返されたが、著者が同行して申請するとすぐに申請が受理され、緊急事態宣言でネットカフェが閉鎖された後緊急事態宣言が解除される5月6日までホテルに無料滞在が認められ、その間にアパートを探して見つかったらそこに入ればいい(敷金や引越代も生活保護費で出す)と言われたというエピソード(34~35ページ)も印象的です。そのときは、著者の名前が効いたのか、共同通信が効いたのか。個別ケースで見るとよかったねと思いますが、我が国の行政のあり方を考えると哀しいところです。


雨宮処凛 岩波書店 2022年3月25日発行
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