殺人事件の予告があったシティホテルを舞台に、ホテル側と警察のせめぎ合いを描いた「マスカレード・ホテル」(2020年7月31日の記事で紹介)の前日譚として、ホテルクラークの山岸尚美と刑事新田浩介のエピソードを語る短編集。
4編のミステリーは別々ですが、1編目はフロントオフィスに配属されたばかりの新人時代の山岸尚美が教えを受けホテルクラークとしての姿勢を確立して行く様をかつての恋人の存在を示しつつ描き、2編目は新田浩介の捜査1課に配属されたばかりの若き日を緩めの女性関係も併せて描き、3編目はフロントクラークとして慣れてきた山岸尚美の観察眼を描き、4編目ではコルテシア大阪のオープンの応援に出た山岸尚美と新田浩介をニアミスさせ、エピローグで「マスカレード・ホテル」本編につなげています。その流れは、まさしく「マスカレード・ホテル」の前日譚/エピソードゼロとして計算されたものといえます。
全体として山岸尚美側というか、ホテルクラークの業務やその観察眼の方に重きが置かれているのは、作者の関心がそれについての驚きと賞賛にあるからでしょう。このシリーズ全体が、そのような方向性で書かれているように思えます。
東野圭吾 集英社文庫 2014年8月25日発行
最初の3編は「小説すばる」掲載
4編のミステリーは別々ですが、1編目はフロントオフィスに配属されたばかりの新人時代の山岸尚美が教えを受けホテルクラークとしての姿勢を確立して行く様をかつての恋人の存在を示しつつ描き、2編目は新田浩介の捜査1課に配属されたばかりの若き日を緩めの女性関係も併せて描き、3編目はフロントクラークとして慣れてきた山岸尚美の観察眼を描き、4編目ではコルテシア大阪のオープンの応援に出た山岸尚美と新田浩介をニアミスさせ、エピローグで「マスカレード・ホテル」本編につなげています。その流れは、まさしく「マスカレード・ホテル」の前日譚/エピソードゼロとして計算されたものといえます。
全体として山岸尚美側というか、ホテルクラークの業務やその観察眼の方に重きが置かれているのは、作者の関心がそれについての驚きと賞賛にあるからでしょう。このシリーズ全体が、そのような方向性で書かれているように思えます。
東野圭吾 集英社文庫 2014年8月25日発行
最初の3編は「小説すばる」掲載