「クマのプーさん」「プー横町にたった家」に付されているE.H.シェパードの絵に「クマのプーさん」等からの引用や登場するキャラクターのイメージに合わせた文章を入れて構成した本。
「理想的な運動とは、プーにそっくりで背が低く、のんきで、なにかつまむものをいつもそばにおいている」(9ページ)とか、「戸棚のいちばん上にあるハチミツのつぼに手をのばすのは、楽しい運動です」(17ページ)とか、「ランニングにかんするイーヨーのアドバイス 走るべからず。」(55ページ)とかに見られるように、脱力系の作品です。
末尾に小さくひっそりと「本書は、A.A.ミルンとE.H.シェパードによる『クマのプーさん』、『プー横町にたった家』およびそのキャラクターをもとに、メリッサ・ドーフマン・フランス(第1部)とジョーン・パワーズ(第2部)が制作したものです」と記されています(173ページ)。訳者あとがきと解説で「本書は二部構成になっており、Pooh's Little Fitness Book と Eeyore's Gloomy Little Instruction Book (ともに初版一九九六年)という、プー物語の原作にインスピレーションを得た、二冊の小さな本で成り立っています」(162ページ:解説)などと説明されています。つまり、原書の著者はメリッサ・ドーフマン・フランスとジョーン・パワーズであって、ミルンではなく、また後半はフィットネスには関係ありません。それを「フィットネス・ブック」という邦題を付けた挙げ句に、カバーにも中扉にも「A.A.ミルン=原案 E.H.シェパード=絵 高橋早苗=訳」とのみ表記して著者名表示をせず(上記の末尾と訳者あとがき、解説の他、奥付と、目次の次のページに「編著者」の表示がされてはいますが。なお、英文の著作権等表示にも著者名表示はされていません)、著者が何者かの紹介はどこにもないというのは、いかがなものでしょう。目につくところには著者名を表示しない一方で、「A.A.ミルン原案」と繰り返し表示していますが、この本にミルン自身が何か関わっているのでしょうか。1956年に死んだミルンが1996年の本に関与しているとは思えません。こういう売り方には疑問を持ちます。
原題:Pooh's Little Fitness Book、Eeyore's Gloomy Little Instruction Book
メリッサ・ドーフマン・フランス、ジョーン・パワーズ 訳:高橋早苗
ちくま文庫 2022年5月10日発行(単行本は1999年12月、原書は1996年)
「理想的な運動とは、プーにそっくりで背が低く、のんきで、なにかつまむものをいつもそばにおいている」(9ページ)とか、「戸棚のいちばん上にあるハチミツのつぼに手をのばすのは、楽しい運動です」(17ページ)とか、「ランニングにかんするイーヨーのアドバイス 走るべからず。」(55ページ)とかに見られるように、脱力系の作品です。
末尾に小さくひっそりと「本書は、A.A.ミルンとE.H.シェパードによる『クマのプーさん』、『プー横町にたった家』およびそのキャラクターをもとに、メリッサ・ドーフマン・フランス(第1部)とジョーン・パワーズ(第2部)が制作したものです」と記されています(173ページ)。訳者あとがきと解説で「本書は二部構成になっており、Pooh's Little Fitness Book と Eeyore's Gloomy Little Instruction Book (ともに初版一九九六年)という、プー物語の原作にインスピレーションを得た、二冊の小さな本で成り立っています」(162ページ:解説)などと説明されています。つまり、原書の著者はメリッサ・ドーフマン・フランスとジョーン・パワーズであって、ミルンではなく、また後半はフィットネスには関係ありません。それを「フィットネス・ブック」という邦題を付けた挙げ句に、カバーにも中扉にも「A.A.ミルン=原案 E.H.シェパード=絵 高橋早苗=訳」とのみ表記して著者名表示をせず(上記の末尾と訳者あとがき、解説の他、奥付と、目次の次のページに「編著者」の表示がされてはいますが。なお、英文の著作権等表示にも著者名表示はされていません)、著者が何者かの紹介はどこにもないというのは、いかがなものでしょう。目につくところには著者名を表示しない一方で、「A.A.ミルン原案」と繰り返し表示していますが、この本にミルン自身が何か関わっているのでしょうか。1956年に死んだミルンが1996年の本に関与しているとは思えません。こういう売り方には疑問を持ちます。
原題:Pooh's Little Fitness Book、Eeyore's Gloomy Little Instruction Book
メリッサ・ドーフマン・フランス、ジョーン・パワーズ 訳:高橋早苗
ちくま文庫 2022年5月10日発行(単行本は1999年12月、原書は1996年)