伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

聖女の救済

2022-07-30 21:52:44 | 小説
 鍵のかかった目黒署管内の自宅リビングルームでIT関連の会社社長真柴義孝の遺体が発見され、側に落ちていたカップからこぼれていたコーヒーから亜ヒ酸ナトリウムが検出された。草薙刑事はその妻が営むパッチワーク教室の弟子で第1発見者の若山宏美を疑い、内海刑事は妻の真柴綾音を疑うが、綾音は前日から札幌の実家にいた。内海は、草薙が綾音に惚れて目を背けていると、草薙に内緒で湯川に協力を仰ぐが…というミステリー小説。
 読んだ後で考えると、作者は、きっと、完全犯罪、解けないトリックがあるとすればどういうものがありうるかという着想を突き詰めていく中でこの作品のプロットに思い至ったのかなと思いました。読者の側から見ると、最初に示唆された動機から、この作品は「刑事コロンボ」型の作品なのか、そのように見せかけてどこかでどんでん返しがあるのかを探りながら読んでいくことになります。
 私としては、2006年に書き始められたこの作品で、湯川も草薙も学生時代にバドミントン部にいたことが明らかにされている(255ページ、328~330ページ)ということ(まだこの頃、男子のバドミントンはマイナー競技だったはず)、この作品の連載中にガリレオシリーズのテレビドラマが始まると、内海刑事が iPod で聴く音楽が福山雅治になる(348ページ、350ページ)あたりに、興味を惹かれました。


東野圭吾 文春文庫 2012年4月10日発行(単行本は2008年10月)
「オール讀物」連載
コメント
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