D県警鑑識課機動鑑識班で目撃者の話から犯人の似顔絵を描く担当者だったが、逮捕された者がまったく似顔絵と似ていなかったため似顔絵捜査でお手柄という記者会見前に描き直しを命じられたことから自己嫌悪に陥って失踪・休職した過去があり、現在は別の部署に配属されている婦警平野瑞穂が、似顔絵を描く能力やさまざまな観察力を活かして奮闘する様子を描く短編連作。
まだ若い一婦警の悩み、男社会の警察の中で低く見られる婦警/女警の意地と向上心が大きなテーマとなっていますが、時に女の敵は女的な場面が登場する際、それを男性作家がいうことへの疑問をどう捌くか、たぶん悩ましいところでしょうね。
観察力を駆使して真相に迫るストーリーを展開するのに、秀でた主人公ではなく挫折の経験がある/なおそれを引きずっている人物にしているところに味があり、またお手柄が前に出ずに、結局専門の部署の他の警察官も自力でたどり着いて主人公は引いていくというところに現実の苦さが感じられます。
横山秀夫 徳間文庫 2022年3月15日(旧版は2005年4月)
「問題小説」連載
まだ若い一婦警の悩み、男社会の警察の中で低く見られる婦警/女警の意地と向上心が大きなテーマとなっていますが、時に女の敵は女的な場面が登場する際、それを男性作家がいうことへの疑問をどう捌くか、たぶん悩ましいところでしょうね。
観察力を駆使して真相に迫るストーリーを展開するのに、秀でた主人公ではなく挫折の経験がある/なおそれを引きずっている人物にしているところに味があり、またお手柄が前に出ずに、結局専門の部署の他の警察官も自力でたどり着いて主人公は引いていくというところに現実の苦さが感じられます。
横山秀夫 徳間文庫 2022年3月15日(旧版は2005年4月)
「問題小説」連載