伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

誘拐屋のエチケット

2023-01-01 09:18:52 | 小説
 「業界2位」と評価される熟練の誘拐屋として、政府関連とも考えられる秘密の組織からの依頼に従い職人的に黙々と誘拐を続ける田村健一が、なぜか組織からの指示で誘拐屋を目指す新人根本翼と組んで誘拐をすることになるが、その根本は口は軽い、誘拐対象に同情して世話を焼き余計な仕事を増やし続け、とても誘拐屋に向いておらず、田村は根本とは組めないと組織のエージェントに文句を言うが、組織は根本と組むことを指示し続け、田村は仕方なく根本に振り回され…という展開のサスペンス小説。
 短編連作の形ですが、それはむしろ全体のストーリーを意識させないためかと思われるほど、終盤の展開でそうか実はそういう作品だったのかと驚かされ、そこで前に戻ってみると、バラバラに見える話、思いつき的な余計なお世話に見えるものまでが、きちんと作り込まれていたのだとわかります。ミステリーという意識でなく読んでいるのに、読み終わるとできのよいミステリーを読んだように感じました。


横関大 講談社文庫 2022年9月15日発行(単行本は2020年3月)
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