伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

ジョン・デューイ 民主主義と教育の哲学

2023-01-04 22:54:22 | 人文・社会科学系
 19世紀後半から20世紀前半のアメリカで教育の分野を中心に活躍した思想家であるジョン・デューイの生涯を紹介した本。
 さまざまな領域でさまざまな著作・論文を書き、さまざまな運動に関わった、「行動する思想家」といった趣の人のようです。私は、はっきり言って、全然知らなかったのですが、日本でも「日本デューイ学会」というのがあって、この本の出版時(2022年7月時点)で約320人の会員がいるのだそうな(あとがき:245ページ)。
 学校を子どもが生活する場とする、「子どもが太陽となる」教育(36~39ページ)とか、異論を排除するのではなくそれについて公共的議論を促すべきであり「排除されるべき唯一のものは、議論を禁ずるドグマティズムと不寛容である」(229ページ)とかはわかりやすく、また非難されている人を擁護する活動(トロツキーとか、自由恋愛・離婚を認めるバートランド・ラッセルとか)も論旨明晰なのですが、この人の思想全般は、2項対立を昇華するとかいう話が多いこともあって、必ずしもよくわからない感じが残りました。
 いろいろなものに手を出して、妻アリスとともに女性の教育機会や女性の参政権の獲得を求める活動に注力した(71ページ)ということも紹介されているのですが、その人が1930年代(70歳台)に打ち立てたのが「コモン・マン」の哲学っていうのはどうよって気がします。


上野正道 岩波新書 2022年10月20日発行
コメント
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