太陽系・地球の誕生とその後の変化、海流・大気の動きなどと気象・気候の変動、地下資源、地震・津波・火山の噴火等のテーマについて、基礎的な解説をした本。
「週刊エコノミスト」連載のコラムを元に加筆修正した(「おわりに」でそのように紹介されています)ということで、説明が短い文章で区切られていて、内容的にはわかりやすく読みやすい(つなぎ等でダブっている感じが煩わしくもありますが)反面、記述の流れが一本通った感じではなく散漫な印象もあります。
「地球が温暖化しているのは、『温室効果』の機能を持つ二酸化炭素(CO2)が増えたからではないか、という議論がある」(95ページ)という記述(それも1つの仮説に過ぎないというニュアンス)に象徴的に見られるように、二酸化炭素削減を重視・優先することに反対したい/懐疑的な立場の人に参考になる/好ましいことがらが多数紹介されています。「実は、大気中の二酸化炭素濃度は、地球内部での炭素(C)の循環や、大気と海洋の間での炭素のやりとりなど、複雑な相互作用によって決まっている。二酸化炭素濃度を議論する際には欠かせない理解だが、あまり多くの人には知られていない」「産業革命以来、人間の活動によって大量の二酸化炭素が放出されたが、地球システム全体で見れば、炭素循環による影響の方がはるかに大きい」(95~96ページ)、「近年の地球温暖化は、人為的な気温上昇によるとする見方が多いが、実は気温変化には太陽の距離などはるかに大きな要素が作用している」(109ページ)、「太陽の表面に表れる黒点の変化は、人為的な温暖化よりもはるかに大きな影響を地球環境に与えてきた」(112ページ)、「地球温暖化が世界中の喫緊の課題となっているが、地球上ではそれをはるかに上回る寒冷化現象がときどき起こる。歴史を振り返ると、大規模な火山噴火が気温低下を引き起こし、地球温暖化に一定のブレーキをかけた事例がある」(112ページ)、「二〇世紀はそれ以前の世紀と比べて巨大噴火がほとんどなかった。すなわち、大噴火による気温低下がなかったため、二〇世紀後半の温暖化が顕在化した可能性も否定できない。このように現在、世界で問題となっている温暖化は、一回の大噴火による急激な寒冷化で状況が一気に変わるかもしれない」(117ページ)といった具合。
地球科学者は「例外や想定外に出会ってもうろたえない」「知的な強靱さ」を持つと自負している(67ページ)あたり、逞しいというか、打たれ強いのでしょうけれども。
「近年ドイツの再保険会社が、世界主要都市の自然災害の危険度ランキングを発表したが、東京と横浜がダントツ(七一〇ポイント)で次点以下のサンフランシスコ(一六七ポイント)やロサンゼルス(一〇〇ポイント)を大差で引き離した」(197~198ページ)とか。そこまで言われると、脱出を考えたくなりますね。(調べてみたらミュンヘン再保険会社の2002年のレポート(こちら=IPCCのサイトで入手可能:34ページ参照)のようですので、目新しいトピックではないようですが)

鎌田浩毅 岩波新書 2022年11月18日発行
「週刊エコノミスト」連載のコラムを元に加筆修正した(「おわりに」でそのように紹介されています)ということで、説明が短い文章で区切られていて、内容的にはわかりやすく読みやすい(つなぎ等でダブっている感じが煩わしくもありますが)反面、記述の流れが一本通った感じではなく散漫な印象もあります。
「地球が温暖化しているのは、『温室効果』の機能を持つ二酸化炭素(CO2)が増えたからではないか、という議論がある」(95ページ)という記述(それも1つの仮説に過ぎないというニュアンス)に象徴的に見られるように、二酸化炭素削減を重視・優先することに反対したい/懐疑的な立場の人に参考になる/好ましいことがらが多数紹介されています。「実は、大気中の二酸化炭素濃度は、地球内部での炭素(C)の循環や、大気と海洋の間での炭素のやりとりなど、複雑な相互作用によって決まっている。二酸化炭素濃度を議論する際には欠かせない理解だが、あまり多くの人には知られていない」「産業革命以来、人間の活動によって大量の二酸化炭素が放出されたが、地球システム全体で見れば、炭素循環による影響の方がはるかに大きい」(95~96ページ)、「近年の地球温暖化は、人為的な気温上昇によるとする見方が多いが、実は気温変化には太陽の距離などはるかに大きな要素が作用している」(109ページ)、「太陽の表面に表れる黒点の変化は、人為的な温暖化よりもはるかに大きな影響を地球環境に与えてきた」(112ページ)、「地球温暖化が世界中の喫緊の課題となっているが、地球上ではそれをはるかに上回る寒冷化現象がときどき起こる。歴史を振り返ると、大規模な火山噴火が気温低下を引き起こし、地球温暖化に一定のブレーキをかけた事例がある」(112ページ)、「二〇世紀はそれ以前の世紀と比べて巨大噴火がほとんどなかった。すなわち、大噴火による気温低下がなかったため、二〇世紀後半の温暖化が顕在化した可能性も否定できない。このように現在、世界で問題となっている温暖化は、一回の大噴火による急激な寒冷化で状況が一気に変わるかもしれない」(117ページ)といった具合。
地球科学者は「例外や想定外に出会ってもうろたえない」「知的な強靱さ」を持つと自負している(67ページ)あたり、逞しいというか、打たれ強いのでしょうけれども。
「近年ドイツの再保険会社が、世界主要都市の自然災害の危険度ランキングを発表したが、東京と横浜がダントツ(七一〇ポイント)で次点以下のサンフランシスコ(一六七ポイント)やロサンゼルス(一〇〇ポイント)を大差で引き離した」(197~198ページ)とか。そこまで言われると、脱出を考えたくなりますね。(調べてみたらミュンヘン再保険会社の2002年のレポート(こちら=IPCCのサイトで入手可能:34ページ参照)のようですので、目新しいトピックではないようですが)

鎌田浩毅 岩波新書 2022年11月18日発行