
みなさん、長い間記事を中断してすみません。
鹿嶋はこの間、ある事情で、「ヨハネ伝解読」シリーズを映像で発信せねばならなくなりました。
その作業に追われていました。
この映像シリーズは、もう10回をこえています。
すでにご存じの方も多いかも知れませんが、ユーチューブで連載していますので、
「鹿嶋春平太」、ないしは、「ヨハネ伝解読」で検索してみて下さい。
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この中国論を中断させたも一つの理由は、尖閣諸島を巡る暴動が中国で起きたことです。
連載途中で、はからずも尖閣暴動がおきました。
これで、春平太がここで言ってきた中国に内在する性質が表面化してくれました。
このブログで百の言葉を費やすよりも、事件が明瞭にそれを示してくれることになりました。
鹿嶋は改めてこれをみて、しばし考え込んでしまいました。
そこには人民の大規模デモにより意思表示をする体質、デモが暴動に展開する体質、もみられました。
小泉元首相の靖国参拝暴動以来、久方ぶりであります。

<毛沢東が植え込んだ「造反力」>
この体質はみな、毛沢東が、人民に植え込んだものです。
それは決して彼の邪気から出たものではない。深い思慮の上での政策だったと思います。
これまでの中国史で見てきたように、中国が列強諸国に蹂躙されないためには、
国民国家化が絶対必要でした。
それを第二次大戦当時の中国人民を相手に迅速に実現するには、一党独裁の強権が必要でした。
そして、それを実現する思想は、共産主義思想しかなかった。
だが、それだけでは党の権力者が横暴化し、腐敗するのは火を見るよりも明らかでした。
そのままでは、中国は党内の腐敗が加速化し、内部崩壊に至ることが必至でした。
これを防ぐには、人民の方にも強い抗議力を植え付けることが必要でした。
それが造反の力、いわば造反力です。
毛沢東は、これをまず、土地改革(土改)で教育しました。
地主を犠牲にして、いたるところで農民に彼らを急襲させ、即決裁判をさせ、公開処刑をさせました。
一党独裁の党権力は強大です。
政府は警察、軍隊という物的暴力手段をもっています。
これに対抗させるには、やはり、人民にも暴力手段を身につけさせねばならなかった。
それが暴動に展開するデモです。
暴動デモ体質です。
このために、毛沢東は土地改革運動で、地主を血祭りに上げさせたのでした。
政治手段にされたとはいえ、儒教道徳で所有農地を運営していた地主家族の
悲惨さに同上を禁じ得ません。
だが、毛沢東は土地改革に続いて、文化大革命運動をも扇動しました。
これを若者たちにさせることによってデモ、暴動、権力者の公開リンチ、公開処刑の
体質を人民に再刷り込みしました。
ここでも知識人、富裕者がサディスティックに血祭りに上げられました。
この光景の映像を見て、同情を禁じうる人は少ないでしょう。
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現代でも中国では毎日全国で3000の抗議デモがなされていると言います。
その一部は、日本でも報道されています。
地方政庁に対しても、人民は大規模なデモを仕掛けます。
政庁前をバリケードする警察隊を数の力で突破します。
そして、自治体の長を表玄関に引きずり出して、要求をのませます。
実際、こうして党権力者の不正、横暴が修正されていくのです。
尖閣暴動は、この体質が尖閣問題に対しても出たにすぎないのです。

<食衣の貧困も打開していった>
共産党一党独裁の泣き所は、経済でした。
共産主義の公有体制では、経済は活性化しませんでした。
国民国家になれども、人民は貧しいままでした。
だが、これも改善していきました。
小平が土地を除いた経済市場化に踏み出しました。
まず、深圳などに経済特区を造って試行し、成功するとそれを
全国に拡大しました。
その結果、人民は、食衣に不足のないところ、飢えと寒さで苦しまないところ
までは来ました。

<思想統制の緩和に向けて>
だが、一党独裁政権に必然的に伴う思想統制、言論統制は残らざるを得ませんでした。
けれども、チャイナナイン(今はチャイナセブン担っている)を頂点とする共産党指導者は、
それも徐々に緩めていこうとしています。
その政策を、鹿嶋の限られた情報では、キリスト教において着手しようとしています。
その活動の自由化を、はかる努力をしているのです。
宗教というのは、集団が一つの教理を狂信するという側面を常に持っています。
だが、その側面が拡大すると、宗教活動が共産主義に対抗するもう一つの「主義」になっていきます。
法輪功という気功術を中核にした宗教集団に、当局がすさまじい弾圧を加えたのも
その危険を察知したからでした。
この危険に陥らない活動方式を見出すべく、党の指導層は世界のキリスト教会を
つぶさに調査しています。
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党の指導者は賢人たちなのです。
党は賢人の少数指導体制をとっています。
それが指導が衆愚に陥る可能性を小さくしています。
中国のような広大な多民族国家では、ひとたび政治が
衆愚状態に陥ったら、収拾がつかなくなるのです。
彼らの人事には情実はありません。
毛沢東も、あれだけの権力を手中にしながらも、
自分の子供を政府の要職にはつけませんでした。
指導者人事では、派閥的な動きは伝えられますが、
これは情実とは無縁なものです。
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これまでのチャイナナインのメンバーには絶大な権限が
与えられていました。
だが、9人では決定が割れすぎることを体験したら、
彼らは速やかにチャイナセブンに変更しました。
彼らは中国の問題をよく知っています。
次の問題が、「思想統制、言論統制の緩和・打開」であることを
よく知って働いているのです。
現代の思想・言論統制は指導者の権力欲による所産だけではありません。
これを悪意の所産といった論調で記事にする日本のジャーナリズムの方が、
目覚めなければならないのです。
我々は、中国の歴史的事実を知恵を持って鳥瞰し
対・中国政策を考えていかねばなりません。
