21日の朝に訪れたカメイ美術館は初めて訪れた。生涯学習と社会教育の振興を目的に1994年に開館したということであるので、開館して20年。
蝶のコレクションでは、16万頭を超える前カメイ会長亀井文蔵の蝶コレクションの内、約4千種1万4千頭が展示されている。こけしのコレクションでは、前カメイ社長亀井昭伍が収集した戦前の古作こけしなどが展示されている。絵画・彫刻では、カメイが収集した日本の近現代の具象絵画を中心に寄贈・寄託された作品が展示されている。
絵画については藤島武二「瀬戸内風景」(1932)、和田英作「松島」(1921)、佐伯祐三「バリ風景」(1925)、荻須高徳「シャトー・デ・ブルイヤール」(1961)、三岸好太郎「少女像」(1931)、香月泰男「かきつ」(1972)など気に入っている作品が並んでいた。
坂本繁二郎の「風景」(1903)は初めて目にする作品である。青木繁と上京したばかりだが、すでに坂本らしい筆致がうかがえる。というもののまだ習作段階の作である。香月泰男の「かきつ」ははじめて見るが、晩年の作品で落ち着いた感じの私の好みの作品である。とても気に入った。
そして何といっても私が嬉しかったのは、ブラマンクの5点である。「平原への道」「森」「ノルマンディの雪」「赤い屋根」「積み藁」はどれもブラマンクらしさがそのまま伝わる風景画である。
ブラマンクは1989年に「没後30年展」(日本橋三越)、1997年に「生誕120年展」(ザ・ミュージアム)が開催されていづれも私は感銘を受けた。
日本のも多数の収蔵品があり人気の画家のひとりとなっている。
なんといっても道、雪、積み藁、花瓶の花がブラマンクの主要な題材である。またミレーの「晩鐘」を念頭に置いた「晩鐘」(1944)も、また「林檎の木と燕麦の畑」(1943)も印象に残っている。
ブラマンクと佐伯祐三が1924年にバリで接点があったということ、1997年の図録で読んで本日初めて知った。また集団や「指導者」を信用しなかったブラマンクという生き方にはとても興味を覚えている。いつかじっくりと生涯を追ってみたい画家の1人である。
ブラマンクを5点も見ることができたのは大変うれしかった。デュフィの「雨晴れる」(1941)、ルオーの「道化音楽士」(1932)も好みの作品である。
21日にも掲載したが、コレクション作品の図録とまでは言わないが、この美術館の目的である「生涯学習と社会教育の振興」のためにこれらの素晴らしい作品のポストカードを販売してもらいたいものである。採算の点からの困難も想像できるが、美術館の重要な事業ではないだろうか。