Sightsong

自縄自縛日記

曽根干潟と田んぼの中の蕎麦屋

2011-04-14 01:31:30 | 環境・自然

所用で北九州に行ったついでに、北部九州最大の干潟である曽根干潟に立ち寄った。タクシーの運転手さんに訊ねると、小さいころから「潟」で遊んでいた、友だちなんかカブトガニを食べたんだぞと愉快な話。やや干潮時、ただスーツに革靴、干潟の中までずんずん入っていくわけにはいかず眺めるのみ。大潮の時には、向こうに見える間島まで歩いていけるのだという。

カニもカブトガニもトビハゼも見ることはできなかったが、広い泥干潟を眺めただけでとりあえずは良しとする。

干潟に面している曽根新田はその名の通り埋立地である。その田んぼの中にぽつんと建っている蕎麦屋「もず」で昼食をとった。十割蕎麦なのになめらか、旨かった。近くの田んぼや花や小川の風景ともども大満足である。ついでに蕎麦饅頭を買って鞄に入れておき、夕刻、電車の中で食べた。

●東京湾の干潟(三番瀬、盤洲干潟・小櫃川河口、新浜湖干潟、江戸川放水路)
『みんなの力で守ろう三番瀬!集い』 船橋側のラムサール条約部分登録の意味とは
船橋の居酒屋「三番瀬」
市川塩浜の三番瀬と『潮だまりの生物』
日韓NGO湿地フォーラム
三番瀬を巡る混沌と不安 『地域環境の再生と円卓会議』
三番瀬の海苔
三番瀬は新知事のもとどうなるか、塩浜の護岸はどうなるか
三番瀬(5) 『海辺再生』
猫実川河口
三番瀬(4) 子どもと塩づくり
三番瀬(3) 何だか不公平なブックレット
三番瀬(2) 観察会
三番瀬(1) 観察会
『青べか物語』は面白い
Elmar 90mmF4.0で撮る妙典公園
江戸川放水路の泥干潟
井出孫六・小中陽太郎・高史明・田原総一郎『変貌する風土』 かつての木更津を描いた貴重なルポ
盤洲干潟 (千葉県木更津市)
○盤洲干潟の写真集 平野耕作『キサラヅ―共生限界:1998-2002』
新浜湖干潟(行徳・野鳥保護区)
谷津干潟

●沖縄の干潟・湿地・岩礁
泡瀬干潟
泡瀬干潟の埋立に関する報道
泡瀬干潟の埋め立てを止めさせるための署名
泡瀬干潟における犯罪的な蛮行は続く 小屋敷琢己『という可能性』を読む
またここでも公然の暴力が・・・泡瀬干潟が土で埋められる
救え沖縄・泡瀬干潟とサンゴ礁の海 小橋川共男写真展
屋嘉田潟原 
漫湖干潟
辺野古
糸満のイノー、大度海岸
沖縄県東村・慶佐次のヒルギ

●その他地域の干潟
下村兼史『或日の干潟』(有明海や三番瀬の映像)
『有明海の干潟漁』(有明海の驚異的な漁法)
栗原康『干潟は生きている』 震災で壊滅した蒲生干潟は・・・(仙台の蒲生干潟)

●その他
粟屋かよ子『破局 人類は生き残れるか』(栗原康『有限の生態学』を多く引用)
加藤真『日本の渚』(良書!)
『海辺の環境学』 海辺の人為(人の手を加えることについて)


石橋克彦『原発震災―破滅を避けるために』

2011-04-08 08:34:35 | 環境・自然

『科学』1997年10月号(岩波書店)に、石橋克彦『原発震災―破滅を避けるために』という論文が掲載されている(>> リンク)。地震の想定に関する誤りやそれによる原発事故について論じており、一読すべきものだ。13年以上前の発表である。

論文での指摘は以下の点である。

○日本海側に関しては、断層があろうとなかろうと、M7級の直下型地震がどこでも起こりうる。(その意味で、震災後にまた断層地図が週刊誌に出たりしているが、これは誤解を招くということになる。)
○M8級の東海地震が起きた場合、浜岡は1m程度隆起し、地盤は傾動・変形・破壊する。敷地の地盤高(海抜6m以上)を越える大津波もありうる。
○大地震の際には、平常時の事故と違って、無数の故障の可能性のいくつもが同時多発する。
○原発をめぐる社会的閉塞状況は、破局的敗戦に突き進むほかなかった昭和10年代と酷似している。

特に3番目の点について、次の下りには震撼させられる。

「原発にとって大地震が恐ろしいのは、強烈な地震動による個別的な損傷もさることながら、平常時の事故と違って、無数の故障のいくつもが同時多発することだろう。とくに、ある事故とそのバックアップ機能の事故の同時発生、たとえば外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない。したがって想定外の対処を迫られるが、運転員も大地震で身体的・精神的影響を受けているだろうから、対処しきれなくて一挙に大事故に発展する恐れが強い。」
「原子炉が自動停止するというが、制御棒を下から押しこむBWRでは大地震時に挿入できないかもしれず、もし蒸気圧が上がって冷却水の気泡がつぶれたりすれば、核暴走がおこる。そこは切り抜けても、冷却水が失われる多くの可能性があり(事故の実績は多い)、炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される。」

石橋克彦氏は今日発売の『世界』にも寄稿しているようで、これは読まなければなるまい。

●参照
○『核分裂過程』、六ヶ所村関連の講演(菊川慶子、鎌田慧、鎌仲ひとみ) >> リンク
○『原発ゴミは「負の遺産」―最終処分場のゆくえ3』 >> リンク
○東北・関東大地震 福島原子力の情報源 >> リンク
○東北・関東大地震 福島原子力の情報源(2) >> リンク
○長島と祝島 >> リンク
○既視感のある暴力 山口県、上関町 >> リンク
○眼を向けると待ち構えている写真集 『中電さん、さようなら―山口県祝島 原発とたたかう島人の記録』 >> リンク


栗原康『干潟は生きている』 震災で壊滅した蒲生干潟は・・・

2011-04-07 01:31:39 | 環境・自然

栗原康『干潟は生きている』(岩波新書、1980年)を読む。私にとっては、かつて感銘を受けた『有限の生態学』(1975年)の著者だ。

ここで取りあげている干潟とは、仙台の蒲生干潟である。いつか機会を見つけて足を運ぼうと思っていたが、どうやら今度の震災で壊滅したらしい。

>> 河北新報「野鳥の楽園、見る影なく 一帯に砂、復元不能か 蒲生干潟」(2011/4/1)

本書によると、蒲生干潟には日本全国で確認されているシギ、チドリの4分の3程度が毎年やってきて、面積あたりの種類数に関しては群を抜いていた。その要因としては、彼らの餌であるゴカイなどの底生動物が富み、後背地に田んぼや草地などが広がり、その前縁には砂浜、後縁にはアシ原が形成されているなど複雑な環境が挙げられた。

そして、それら要因間の相関関係を実験結果をもとに考察をすすめている。その結果、潟湖を形成する蒲生干潟の中でも、塩分濃度などのなだらかな変化が見られ、そのトーンこそが微妙な生態系のバランスを成立させているというのだった。ここで重要な点は、人間活動の介入を想定に入れているということ(そもそも蒲生干潟が七北田川の河道変更により形成されている)、そして他の世界に開かれた系として評価していることだ。人工干潟の構想を形作りながらも、「微妙なバランスの上に成り立っている生態系を積極的に改善しようとする”外科手術”がいかに困難であるか」とする指摘は、ずっと三番瀬においてなされてきた人工干潟導入の議論にも当てはまることだろう。

干潟は本書のタイトルにあるように生き物であり、消滅を含め、姿を変えていくことは宿命と言うことができよう。とは言え、急激な壊滅は残念極まりない。今後、干潟という微妙なバランス上に成り立つエコトーンが、どのような姿でどこに姿をあらわすのだろうか、それともそれはないのだろうか。本書では、次のように示唆している。

「生物の環境にとってさらに大切なことは、時たま大きな攪乱を受けることである。環境が長期間定常状態を維持すると、生物による条件付けのためにしばしば不適な環境に変ってくる。この場合、たまに起る攪乱は環境を蘇生させるのに非常に重要な働きをしている。干潟が時に異常高潮や洪水によって洗われることは、生物の条件付けによる環境劣化を防ぐのに必要な洗礼といえるであろう。」

それにしても、沖縄・泡瀬干潟の埋め立て予算が成立したとの報道にはがっかりさせられた。地震と津波による大きな変化ならば自然のサイクルだと考えもできるが、利権確保のための無意味な埋め立ては到底納得できるものではない。

>> 沖縄タイムス「県議会、当初予算が成立」(2011/3/30)

●東京湾の干潟(三番瀬、盤洲干潟・小櫃川河口、新浜湖干潟、江戸川放水路)
『みんなの力で守ろう三番瀬!集い』 船橋側のラムサール条約部分登録の意味とは
船橋の居酒屋「三番瀬」
市川塩浜の三番瀬と『潮だまりの生物』
日韓NGO湿地フォーラム
三番瀬を巡る混沌と不安 『地域環境の再生と円卓会議』
三番瀬の海苔
三番瀬は新知事のもとどうなるか、塩浜の護岸はどうなるか
三番瀬(5) 『海辺再生』
猫実川河口
三番瀬(4) 子どもと塩づくり
三番瀬(3) 何だか不公平なブックレット
三番瀬(2) 観察会
三番瀬(1) 観察会
『青べか物語』は面白い
Elmar 90mmF4.0で撮る妙典公園
江戸川放水路の泥干潟
井出孫六・小中陽太郎・高史明・田原総一郎『変貌する風土』 かつての木更津を描いた貴重なルポ
盤洲干潟 (千葉県木更津市)
○盤洲干潟の写真集 平野耕作『キサラヅ―共生限界:1998-2002』
新浜湖干潟(行徳・野鳥保護区)
谷津干潟

●沖縄の干潟・湿地・岩礁
泡瀬干潟
泡瀬干潟の埋立に関する報道
泡瀬干潟の埋め立てを止めさせるための署名
泡瀬干潟における犯罪的な蛮行は続く 小屋敷琢己『<干潟の思想>という可能性』を読む
またここでも公然の暴力が・・・泡瀬干潟が土で埋められる
救え沖縄・泡瀬干潟とサンゴ礁の海 小橋川共男写真展
屋嘉田潟原 
漫湖干潟
辺野古
糸満のイノー、大度海岸
沖縄県東村・慶佐次のヒルギ

●その他
粟屋かよ子『破局 人類は生き残れるか』(栗原康『有限の生態学』を多く引用)
加藤真『日本の渚』(良書!)
『海辺の環境学』 海辺の人為(人の手を加えることについて)
下村兼史『或日の干潟』(有明海や三番瀬の映像)
『有明海の干潟漁』(有明海の驚異的な漁法)


東北・関東大地震 福島原子力の情報源(2)

2011-03-16 09:17:39 | 環境・自然

この災害の終息が見えてから将来のために読むべきものかもしれないが、重要な指摘・論考。

今回改めてTwitterの有効性が明らかになったことは強調すべきだ。これらもTwitterでの口コミによるものであり、テレビや新聞経由では目に触れることがない。なお、急速に反響を呼んでいる広瀬論文に関しては、池田信夫氏が「これは悪質なデマ」だと断じているがどう判断するか。

ところで、「××での放射能測定値は××の何倍」という報道は、その意味を軽んじてただセンセーショナルにしているという点で問題だと思うがどうか。

●広瀬隆『破局は避けられるか――福島原発事故の真相』(2011/3/16) >> リンク

「テレビでは、コメンテーターも政府もみな、微量、微量と言い続けた。ここまでくれば、みな、おそるべき犯罪者たちである。さらに2号機では、格納容器の破損が起こり、4号機では建屋内の使用済み核燃料のプールが沸騰を始めたという。ここには、原子炉より多くの放射性物質が入っている。作業者が近づけない場所であるから処理はおそらく不能であろうと、15日の午後5時時点で、私は推測するが、この推測が間違ってくれるよう祈っている。福島第一原発の6基のうち、1基がメルトダウンすれば、そこには職員がいられなくなる。すべてを放棄して逃げ出すだろう。あとは連鎖的に事故が起こる
 この発電所には、全部合わせて、事故を起こしたチェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると思われる。あとは、この放射能が無害であると、政府と原子力安全・保安院と電力会社とテレビの御用学者たちは言い続けるはずだ。もし日本の国民が愚かであればそれを信じて、汚染野菜を食べることだろう。明日、すぐには死なないからだ。しかしかなりの高い確率で発癌することが分っている。子供たちを守れるのは、事実を知っているあなただけである。」

反論 → ●池田信夫『デマにご注意』(2011/3/16) >> リンク

「たしかに核廃棄物の放射能は多く、それがコントロールできなくなったことは深刻な事態である。大量の核廃棄物が大気にさらされた可能性があるが、これはチェルノブイリのような「メルトダウン」とは違う。チェルノブイリの場合は核燃料が暴走したまま原子炉が崩壊したので、高温の噴煙が上空まで上がって欧州全域に飛んだが、今回は放射能汚染は基本的には原発の周囲にとどまる
 「連鎖的に事故が起こる」とは何をいおうとしているのかわからないが、1~3号機の連鎖反応は止まっている。4号機の事故は「核の燃えかす」によるものなので、再臨界(核燃料の連鎖反応が再開される)を起こすことは考えられない。崩壊熱による火災は今後も考えられるが、これは連鎖反応とは違う。」

●塩谷喜雄『未曾有の震災が暴いた未曾有の「原発無責任体制」』(2011/3/15、フォーサイト) >> リンク

「実は、東電の福島第一は津波に弱く、炉心溶融の危険性があることは、5年前から指摘されていた。想定外などではない。福島第一で想定されている津波、チリ地震津波クラスに遭遇すると、大きな引き波によって冷却用の海水を取水できなくなるといわれる。この引き波による取水停止が、炉心溶融に発展する可能性を、2006年に国会で共産党の吉井英勝議員が質問している。」

●大前健一『福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い』(2011/3/15) >> リンク

「今回の反省から全ての原発を再点検し、必要な施設の付加をして生かせるものは生かす。しかし、新たな炉の建設や今回のような恐れのある炉は廃炉とするしかない。国民はその不便を「電気の節約」という行動で積極的に甘受するしかないだろう。」
※なぜか再生可能エネルギーに触れられていないが・・・。

以下、過去すでになされていた指摘

●チリ地震が警鐘 原発冷却水確保できぬ恐れ対策求める地元住民(2010/3/1、しんぶん赤旗) >> リンク

「原発の津波対策をめぐっては、2006年に日本共産党の吉井英勝衆院議員が国会質問で不備を指摘しています。5メートルの津波(引き波)によって、日本の原発の約8割にあたる43基の原発で、冷却水が海から取水できなくなることを明らかにしました。また、原発ごとに想定されている引き波でも、12原発が、取水不能になるうえ貯水槽もないことがわかっています。」

●石橋克彦『迫り来る大地震活動期は未曾有の国難である』(2005/2/23、衆院予算委員会) >> リンク >>リンク(原文)

「・・・普通、原発の事故というのは単一要因故障といって、どこか一つが壊れる。
 で、その場合は多重防護システム、あるいはバックアップシステム、安全装置が働いて、大丈夫なようになるというふうに作られているわけですけども、地震の場合は複数の要因の故障といって、いろんなところが振動でやられるわけですから、それらが複合して、多重防護システムが働かなくなるとか、安全装置が働かなくなるとかで、それが最悪の場合にはいわゆるシビアアクシデント、過酷事故という炉心溶融とか核暴走とかいうことにつながりかねない訳であります。」

●谷口雅春『浜岡原発2号は東海地震に耐えられない 設計者が語る』(2005/7/13) >> リンク

「ところが1972年5月頃、驚くべき事態が起こりました。部門ごとの設計者の代表が集まった会議で、計算担当者が「いろいろと計算したが無理だった。この数値では地震がくると浜岡原発はもたない」と発言したのです。」
「私は、それを聞いて「やばいな」と思い、しばらく悩んだ末に上司に会社を辞める旨を伝えました。自分の席に戻ったところ、耐震計算結果が入った三冊のバインダーが無くなっていました。そのため、証拠となるものは何も持っておりません。」

参考

●本ブログ『原発ゴミは「負の遺産」―最終処分場のゆくえ3』 >> リンク

●本ブログ『『核分裂過程』、六ヶ所村関連の講演(菊川慶子、鎌田慧、鎌仲ひとみ)』 >> リンク

●本ブログ『既視感のある暴力 山口県、上関町』 >> リンク

●本ブログ『眼を向けると待ち構えている写真集 『中電さん、さようなら―山口県祝島 原発とたたかう島人の記録』』 >> リンク


東北・関東大地震 福島原子力の情報源

2011-03-13 10:59:56 | 環境・自然

地震発生後に冷却装置がストップしてからずっと注視しているが、情報公開の透明性は低く隔靴掻痒。パニックを防ぐために詮索せずにNHKや政府などの大本営発表だけを見るべきだという意見さえ出る始末だ(これが問題であることがなぜわからないのだろう)。信頼でき、求められているのは科学的・即時的な情報であった。

●早野龍五氏(東京大学)のtwitter >> リンク

リアルタイムでの科学的な判断。信頼できる。昔プログラミングの授業を受けたこともあり勝手に好感。

●原発に関するQ&Aまとめ >> リンク >> リンク

上記早野氏のtwitterのまとめ。つながらないこともある。

●原子力資料情報室 USTREAMでの記者会見(2011/3/12 午後8:00-) >> リンク

東芝の元技術者が問題を技術的に解説。政府やメディアにおける情報の隠蔽体質に憤りを覚えての登場。わかりやすく、なぜヘンな学者でなくこのような方をテレビに出さないのかという声が圧倒的であった。リアルタイムで5万人が視ていた。

●松浦晋也氏(ライター)のtwitter >> リンク

上の記者会見を逐一まとめている(私は全部は確認していない)。

●東大地震研のこの地震に関するサイト >> リンク

地震から1日遅れで設置された。今までの地震に関する思い込みはアテにならない。修士のときに在籍した。

●宣伝映画『福島の原子力』(1960年) >> リンク

科学映像館による配信。運転開始前の宣伝映画のようだが、なぜかパソコンのリアルプレイヤーがうまく動かなくなった(これまで科学映像館の映像をよく視ていたのに)。内容を誰かまとめてください。


東北・関東大地震

2011-03-12 08:08:10 | 環境・自然

東京丸の内のオフィス。はじめて体験する規模の揺れ、はじめて訓練以外でヘルメットをかぶり机の下にもぐる。指示によりオフィスに缶詰、夜になって近くのコンビニに出てみたが、ドリンク以外はほぼ売り切れ。地下鉄が動き出し、深夜12時をまわってからオフィスを出た。東京駅はテレビの前に集まる人々、座り込む人々。帰宅してみると自分の部屋は本が散乱し、ドアがつっかえて開かなかった。


湯本貴和『熱帯雨林』

2011-02-25 08:13:02 | 環境・自然

湯本貴和『熱帯雨林』(岩波新書、1999年)を読む。

熱帯に行ったことはあっても熱帯雨林を体験したことのない自分にとっては(沖縄の亜熱帯林止まりである)、観察方法や生態系の話など興味津津である。著者によると、自らを防御する植物が多い熱帯雨林は「毒物の森」であるという(!)。私もグンター・パウリ氏(ゼロエミッションの提唱者)にアドバイスをもらってコロンビアの森林管理に関わりかけたことがかつてあって、そうしていたなら、熱帯雨林の世界に触れることができていたのだが。

地面までほとんど光が届かない熱帯雨林にあって、倒木によってできる「林冠ギャップ」という穴が新たな勢力争いに重要な役目を果たすという説明が面白い。光を届けるために間伐や枝打ちを行うべきだとする日本の森林管理とはまったく別世界だ。むしろ乱伐や過度の焼畑を抑えるのみならず生態系(人間が加わった)を狂わせないようにすることが森林管理ということか。

熱帯の社会生活とのリンク付けを行うのはトロピカルフルーツだ。昆虫や鳥が花粉を運ぶばかりでなく、猿や象のような大きな動物が果実を食べて移動し、糞をすることで種子が拡散されていくメカニズムがある。その秘密は、マンゴーやランブータンの種が果実から離れにくく、その場で吐き出されないことにある。レストランで供されるマンゴーからは種が取り除かれているが、こんなことも考えれば宴が愉しい。それだけではない。南米にはホウガンノキという、直径20cmの実を付ける木があるという。この進化を駆動したのは、人間がやってくる以前に生息していた象のような大型草食獣であったに違いないと想像している。大きな果実の存在から、人間以前の世界にまで想像力が飛翔するわけである。

そして「一斉開花」。何年かに一度にしか開花しない多くの花が、突然わらわらわらと活動する現象である。いろいろな理由が考えられてはいるものの、まだそのメカニズムは謎に包まれているようだ。そんな時期に居合わせたら興奮するのだろうね。

タイは、映画『象つかい』(チャートリーチャルーム・ユコン)で描かれたように、戦前は国土の8割が熱帯林におおわれていたという(いまでは3割程度に過ぎない)。バンコクも含め、諸都市の現在の土地利用面積をもって「アジア的」だとか「アフリカ的」だとか論じた吉本隆明はやはり乱暴に過ぎる。

●参照
そこにいるべき樹木(宮脇昭の著作)
東京の樹木
小田ひで次『ミヨリの森』3部作
荒俣宏・安井仁『木精狩り』
森林=炭素の蓄積、伐採=?
『けーし風』2008.3 米兵の存在、環境破壊(やんばるの林道についての報告)
堀之内貝塚の林、カブトムシ
上田信『森と緑の中国史』
沖縄の地学の本と自然の本
熱帯林の映像(着生植物やマングローブなど)
只木良也『新版・森と人間の文化史』
チャートリーチャルーム・ユコン『象つかい』(タイの森林伐採問題)


川で遊ぶ、川を守る~日本と韓国の水辺環境

2011-01-23 21:48:24 | 環境・自然

ラムサール・ネットワーク日本が主催のセミナー「川で遊ぶ、川を守る~日本と韓国の水辺環境」を聴いてきた(2011/1/18、丸の内さえずり館)。

第1部は写真家・村山嘉昭氏による日本の川の写真上映とトーク。川で遊ぶ子供たち、通称「川ガキ」の姿が愉しい。ダムが中止された川辺川(熊本県)。山がしっかりしているために川底の苔に土がたまらず、アユが旨いという安田川(高知県)。「川の学校」を続けている吉野川(徳島県)。釣り人と泳ぐ子供たちが共存する長良川の郡上(岐阜県)。それぞれ魅力的なところのようで、すぐにでも行きたくなってくる。

写真家によるメッセージは、地域の力ということだった。子供たちに自然に入らせ、地域がそれを見守る。そうすればリスクゼロという極端に走りがちな学校や役所も理解を示すのだという。自分も子どもの頃は川で泳いだり、サワガニやザリガニやウグイを追いかけていたりしたなあ、なんて思いだしたりして。

第2部は、菅波完氏(ラムサールネットワーク日本)による、韓国四大河川の環境破壊に関する報告。ハンガン、クンガン、ナクトンガン、ヨンサンガンの四大河川では、同時に、ダム建設(16箇所)や河岸の人工化が進んでいる。それによると、李明博政権の言う治水効果も利水効果もまったくウソであり、李大統領が選挙時に謳っていた「大運河構想」が姿を変えたものであることがわかる。


四大河川開発事業(左)と大運河構想(右)

この事業は、日本では考えられないほど急速かつ強権的に進められており、止めることができず、今後、環境・財政の面から問題になった後、如何に修復していくかが課題だという。ほとんど知らない内容であっただけに驚愕した。

●参照
日韓NGO湿地フォーラム
やんばる奥間川


只木良也『新版・森と人間の文化史』

2011-01-23 20:46:04 | 環境・自然

只木良也『新版・森と人間の文化史』(NHKブックス、2010年)を読む。愚かな「環境問題のウソ本」が幅をきかせているいま、そんな本に無駄なオカネを払うくらいなら、このような良書をじっくり読むべきである。何しろ、リベラルな人々でさえも、すぐに水準の低い環境陰謀論を信じてしまっている状況であり、これは知的怠惰・知的後退に他ならないからだ。

何といっても、マツについて語った「マツ林盛衰記」が面白い。人間が森林の収奪を繰り返し、土地がやせ、そこに耐性の強いマツが進出し、里山のマツ林が生まれてきた。『魏志倭人伝』にはマツは登場せず、『記紀』には少し現れ、『万葉集』ではポピュラーな樹木として歌われた。「白砂青松」とは、そのような環境の風景に与えられた名前であったのだ。

いまのマツ枯れは、化石燃料の進出によって落葉や薪炭材の収奪が減り、土壌が肥沃になって、マツが再び追い出されている過程に過ぎないのだという。そしてマツタケの不作も、肥沃な土地ではマツタケ菌が他の菌に負けてしまうからだという。自然破壊としてのみ視られるこれらの現象も、見方を変えてみれば、人と森林との関わりの歴史に位置づけられてくる。

その意味では、本来の健全な森林環境においてマツが育つものではないということになる。著者はこの安定的な状態を「極相」と表現している。本来その土地にあるべき樹木を指す「潜在自然植生」と同様の概念だろう(宮脇昭『木を植えよ』一志治夫『魂の森を行け』)。関東以西の「潜在自然植生」は常緑広葉樹(照葉樹)、東北・北海道は落葉広葉樹または針葉樹など、魅力的な見方である。

木曽谷のヒノキが危機的な状況にあるという。その理由は、間伐などの森林管理がいき届かず、より暗いところに強いアスナロが力をつけてきていることにある。「極相」や「潜在自然植生」とは異なり、人が丁寧に育ててきた二次林の危機ということになる。アスナロは漢字では「翌檜」、つまり「明日はヒノキになろう」の木であり、葉っぱの形はうろこ状でよく似ている。私の愛用する『葉で見わける樹木』(林将之)でも、その違いがわかりやすく示されている。しかしその類型的な見方では、ヒノキ林の危機にまで想いを馳せることが難しい。

そして道端や公園で見かける木々についても、名前のみ覚えているにとどまっていたことを思い知らされる。例えばカイヅカイブキ、キョウチクトウ、マテバシイなどは、都市の悪い環境でも育つ「公害に強い木」であるという。しかし、著者はこのことに警告を発する。

「むしろ積極的に弱い木を計画的に市街地内に配置し、環境の見張り役、緑の警報器(警報木?)として役立たせては、と思うのである。弱い木が枯れたら植え直す、そして枯れた理由を人々に思い知らせる、といった啓蒙的活動も含めて。」

著者は林道必要論者のようであり、林業と森林管理に必要だとする。私の頭にある林道は、無駄な公共事業の林道や林網、それによる生態系の分断と森林の劣化、土壌の浸食の象徴のようなものだ。一辺倒な考えではいけないんだろうな、と思った次第。

●参照
そこにいるべき樹木(宮脇昭の著作)
東京の樹木
小田ひで次『ミヨリの森』3部作
荒俣宏・安井仁『木精狩り』
森林=炭素の蓄積、伐採=?
『けーし風』2008.3 米兵の存在、環境破壊(やんばるの林道についての報告)
堀之内貝塚の林、カブトムシ
上田信『森と緑の中国史』
沖縄の地学の本と自然の本
熱帯林の映像(着生植物やマングローブなど)


旧江戸川のゆりかもめ、カワウ

2010-12-28 01:45:19 | 環境・自然

毎朝、旧江戸川のカワウゆりかもめをじろじろ見る。

カワウは日によって大勢で水面に居ることがある。両足を揃えての着水が見ものである。たまにチャプンと潜り、しばらくして浮かび上がったときに魚をくわえていると拍手したくなってしまう。いまは繁殖羽で頭と脚の付け根が白い。

ゆりかもめも可愛い。胸をくっとつきだしていて、ツンツンしていて、まるで毛皮を纏った貴婦人である。赤い脚がオシャレ。

●参照
旧江戸川のカワウ(2010年12月)
旧江戸川のゆりかもめ、カワウ、ドバト(2010年2月)
川本博康『東京のカワウ 不忍池のコロニー』(科学映像館の無料配信映画)
行徳近郊緑地保全区域内鳥獣保護区におけるカワウの生息状況調査について(市川市)(浜離宮のカワウ追い出しによって行徳に移動したことがわかる)
行徳のカワウコロニー(行徳野鳥観察舎日記)


名古屋COP10&アブダビ・ジュゴン国際会議報告会

2010-12-11 10:19:31 | 環境・自然

ジュゴン保護キャンペーンセンター主催の『名古屋COP10&アブダビ・ジュゴン国際会議報告会』に参加してきた(2010/12/5、港区立勤労福祉会館)。

先日名古屋で開かれた生物多様性条約のCOP10については、国間の利益配分ばかりが取り上げられ、結局何だったのかについては注目されていない印象が強い。それは大メディアの力不足に他ならない。一時期、大浦湾のジュゴンについてまるでペット扱いで追いかけた日テレ『NEWS ZERO』も然りだ。

このセミナーでは、ジュゴンについて、COP10、さらにIUCNの「ジュゴン保護国際会議」についての報告がなされた(蜷川事務局長)。

名古屋議定書(ABS議定書)がマスコミの注目の対象であった。大枠決めであり、日本ではおそらく2012年通常国会で批准される。
○2年後のCOP11(ニューデリー)に向けて、ジュゴン保護のための闘いがはじまったと考えてよい。
○COP10の愛知ターゲットに対応して、日本政府の素案として、「藻場・干潟の保全活動の推進を図る」、「沿岸域においては藻場・干潟の整備」といったものが発表された。これに魂を入れてもらう。
ジュゴン保護に関する3度目のIUCN決議(2008年10月)は圧倒的多数で勧告が採択されたものだが、日本政府は棄権した。
ボン条約(移動性野生動物の保全に関する条約)による「ジュゴン保護覚え書き」への署名は、2008年時点の12カ国から18カ国へと増えた。また、ジュゴン保護国際会議(「ジュゴン保護覚え書き」第1回署名国会議、2010/10/4-6、アブダビ)には、生息国48カ国のうち29カ国が参加した。なお生息国には、ジュゴンが通過する国も含まれる。
○ジュゴン保護国際会議に日本政府は参加しなかった。「国内法整備を要求されるから」という理由であったが、覚え書きには「法的拘束力はない」ものと明記されており、口実にすぎない。第2回会議には、国益に合うなら参加するものとしており、後ろ向きの姿勢である。
○ジュゴン保護国際会議では、国際先住民ネット(IIFB)が「辺野古・大浦湾での軍事基地建設とそれが生物多様性に与える影響について憂慮する」との声明を出した(なおIIFBの発言力は国並みに認められている)。
○また、CBDアライアンスは「日本は里山・里海イニシアチブを推進しているが・・・沖縄ではアメリカ軍のために生態系の貴重な場所を破壊し・・・見て見ぬふりをしている」と批判した。
○沖縄のジュゴンは北部東海岸(大浦湾など)を中心に数十頭が生きていると言われていたが、現在ではさらに少なくなっている。公共事業を原因とする赤土流出で海草藻場が壊滅したこと、魚網で窒息死すること(酸素呼吸のため)、といった原因がある。沖縄西岸の古宇利島でも来ているとの言説は、問題を曖昧にするものだ。
○辺野古の新基地建設がなされれば藻場が壊滅する。環境アセスメントは、これまで「準備書」への知事意見が出された(2009/10)ところまで進んだ。それを踏まえた「評価書」がいつ出るかは、先日の沖縄知事選後の様子を見て決められていくだろう。しかしそう簡単には行かないだろう。
○名護市の稲嶺市長は、環境アセスメント法違反の「現況調査」を拒否した(2010/11/30)。ジュゴンとその生息地の保全を環境省に要請する陳情もこの12月に名護市議会で採択される。
○2011年春に新日米共同声明が出されるだろうが、普天間問題は解決しない。
○米国の国防総省に対するジュゴン訴訟については、現在、日本の環境アセスメントの結果待ちという段階である(国防総省は日本のアセスを支持する立場)。日本の環境アセスメント法は対象とする範囲が狭く、この結果に対しては異論が出るだろう。なお、ジュゴン保護国際会議では、ジュゴン訴訟の議論はあまり出てこなかった。

以上、ジュゴン訴訟と辺野古アセスの現状を確認できる場だった。忘れないでじろじろと見続けることが重要である。


環境アセスのフロー

●参照
ジュゴンと生きるアジアの国々に学ぶ(2006年)
ジュゴンと共に生きる国々から学ぶ
二度目の辺野古
高江・辺野古訪問記(2) 辺野古、ジュゴンの見える丘
ジュゴンの棲む辺野古に基地がつくられる 環境アセスへの意見(4)


『みんなの力で守ろう三番瀬!集い』 船橋側のラムサール条約部分登録の意味とは

2010-12-04 10:20:26 | 環境・自然

「NGO三番瀬のラムサール条約登録を実現する会」が事務局となって開催されたシンポジウム、『みんなの力で守ろう三番瀬!集い』に参加した(2010/11/30、船橋市民文化ホール)。この場所と、千葉県や船橋市が後援していることには理由がある。

三番瀬に関しては、人工干潟の造成や開発、生態系に対する捉え方などを巡って諍いに近い議論がなされてきた。この会は、次回のラムサール条約締約国会議(COP11、2012年)において、船橋側だけでも登録しようとする動きである。

三番瀬は西から浦安、市川、船橋へと広がっている。浦安側については、猫実川河口域の生態系が健全ではなく、また不自然な牡蠣礁が形成されているとの問題点が指摘されている(ただ、これについても賛否両論ある)。市川側については、市川塩浜の垂直護岸により、親水性のなさ(三番瀬に近づけない)、安全性の低さ(危険ゆえ今はフェンスで囲われている)、生態系に与える悪影響などが議論されている。今回のラムサール条約登録の対象は、それらの地域においてなされている開発・保全(人工干潟・覆砂など)などの議論を回避できる船橋側という構図である。

なお、漁業権については、浦安漁協が既に漁業権を完全放棄した(1971年)ため、市川側では南行徳漁協と行徳漁協、船橋側では船橋市漁協が漁業権者となっている。ノリの養殖は「区画漁業権」(海苔ヒビにより場所を占有するため)、アサリ漁業などは「共同漁業権」という形である。ただ、漁業権を個人でなく漁協が代表するように語られることはわかりにくい点ではある。

倉阪秀史氏(千葉大学法経学部)により、「三番瀬をラムサール条約湿地として登録する理由」と題したプレゼンテーションがなされた。三番瀬の円卓会議にずっと関わってきた方である。強調していた点は以下のようなものであった。

(1) ラムサール条約が提唱する「ワイズユース」には漁業が含まれており、すなわち、三番瀬でも漁業者に漁業活動を保証するものである。
(2) 観光やエコツーリズムの観点から、フィッシャーマンズワーフを作るなどの活動があってよい。
(3) 生態系が不健全な場所には、多少砂を入れた方が自然を豊かにする。塩浜護岸の実験では青潮のあとでアサリが出るなどの結果が見られた。自然の反応を確かめながら徐々に自然に手を入れる必要がある。
(4) ブルーシートが立つような場所には人が集まらない。
(5) 市川側を含めた全面登録が望ましいが、合意が得られなければ、船橋側(コア区域)のみでの登録でもよい。
(6) 千葉県は部署横断的に動くべき。
(7) COP11は最大のチャンスである。

(1)については断言に過ぎるのではないか。環境省のパンフレット『ラムサール条約湿地のワイドユース』(2007年3月)にも漁業の事例が書かれているが(宍道湖、厚岸湖・別寒辺牛湿原)、そこで強調されているのは資源管理や流入する水質保全であり、単に漁業が保証されるということではない。(2)(3)については人工干潟を巡る議論への配慮だと解するが、船橋側の直接の論点ではないのではないか。(4)については表現以外の問題がある。

その後のパネリストたちによる指摘・議論を含めて、<三番瀬の保全>だけでなく、<三番瀬を活かしたまちづくり>を目的としてラムサール条約への部分登録を行うという考えには共感できた。しかし、問題は多い。

ところで、シンポジウムが始まる前には、動員のために山本リンダのコンサートが開かれていた。1曲だけ聴くことができた。『仮面ライダー』に出ていた山本リンダを突然観るという奇妙な感覚。

●三番瀬
船橋の居酒屋「三番瀬」
市川塩浜の三番瀬と『潮だまりの生物』
日韓NGO湿地フォーラム
三番瀬を巡る混沌と不安 『地域環境の再生と円卓会議』
三番瀬の海苔
三番瀬は新知事のもとどうなるか、塩浜の護岸はどうなるか
三番瀬(5) 『海辺再生』
猫実川河口
三番瀬(4) 子どもと塩づくり
三番瀬(3) 何だか不公平なブックレット
三番瀬(2) 観察会
三番瀬(1) 観察会


インドにも沖縄にもランタナ、七変化

2010-10-30 21:24:07 | 環境・自然

昔、沖縄で可愛い花だなと思ったランタナ。小さい花が寄せ集まって小さい花を形作っている。日本名は七変化といい、その名前の通り、咲いている間に花の色が変わっていく。


ランタナ(2006年、沖縄県東村) Pentax Espio-Mini、コニカシンビ200


ランタナ(2010年、沖縄県東村) Pentax MZ-S、FA★77mmF1.8、フジ・ベルビア100

今週訪れたインドの田舎でも見つけた。調べてみると、熱帯・亜熱帯に広く自生しているようだ。最近千葉県の自宅近くでも、庭で育てている家があった。


ランタナ(2010年、インド・ヴィジャナガル) コンデジ

なお、色がずっと黄色のキイロランタナという種もある。まるでプラスチックのような質感、これはこれで可愛い。


キイロランタナ(2010年、沖縄県東村) Pentax MZ-S、FA★77mmF1.8、フジ・ベルビア100


屋嘉田潟原

2010-09-11 22:42:26 | 環境・自然

2010年8月、沖縄県恩納村屋嘉田潟原(やかたたたばる)。日の出前の月や夕焼けを観た後、さて干潟はどこだろうと干潮時間に眺めると、目の前に広がっていた。護岸工事から免れた貴重な場所であり、赤土汚染に悩まされたこともあったようだ。万座のビーチで遊ぶなら、ついでにこちらにも足を運ぶべきだ。


屋嘉田潟原、朝の月 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


屋嘉田潟原、夕焼け Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP

海沿いの国道58号を渡ると、すぐに干潟に降りることができる。向こうのヨー島まで歩いていくことができそうにさえ見える。壮観だ。


屋嘉田潟原 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


ヨー島まで歩いていけそうだ Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP

サンゴ礁のかけらが多い砂干潟、下をじろじろ見ながらずんずん歩く。タマシキゴカイの糞だろう、東京湾の干潟と同じ「モンブラン」がそこかしこにある。地中で砂を食べたゴカイが、有機物を摂ったあと、綺麗な砂を地上にひり出したオブジェだ。海草もある。


モンブラン Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


海草 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP

カニは、やはりたくさんいる。岸の近くでは、シオマネキが片手で潮を招いている。どこかのカップルが、歩道からシオマネキの群舞を見つめてスゲースゲーと叫んでいた。甲羅がゴーヤーのようにぼこぼこしたオウギガニの仲間は、なかなか穴から出てこない。オサガニの仲間だろうか、眼が潜望鏡のように上につきだした奴もいる。

甲羅の上に砂を薄くかぶせて、隠れたつもりになっている大きなカニがいた。石の先でちょいとつっついてみると、砂を払いのけ、物凄い迫力で威嚇してきた。指を挟まれたら本当に痛そうだ。くわばらくわばら。あとで調べてみると、タイワンガザミだった。

八重山に「ヤクジャマ節」という唄があるという。その中では、シオマネキは強いガザミを羨んでいる。「やくぢやま」と「しらかち」がシオマネキであるようだ。

「うさいの泊のやくぢやま
作田節ば詠めうる
おれが隣りのしらかちや
おれに合しゆて
三味線ばぴき詠めうる
生れる甲斐産でる甲斐
がさみのなかなが子ば生し見やむな
(略)」
(ウサイの泊のヤクヂヤマが作田節を謡っている。そのお隣のシラカチはそれに合せて三味線を弾いている。そして彼らはこう歎じている。「折角生れる位なら、ガサミのような強者になって生れればよかったのに。けれでも生れ落ちた以上は仕方がない。せめてガサミのような強い子でも産んでみたい。)

伊波普猷『小さき蟹の歌』(『古琉球』所収、1916年)


シオマネキ Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


オウギガイの仲間はなかなか出てこない(部分) Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


私を威嚇するタイワンガザミ Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP

●沖縄の干潟・湿地・岩礁
泡瀬干潟
泡瀬干潟の埋立に関する報道
泡瀬干潟の埋め立てを止めさせるための署名
泡瀬干潟における犯罪的な蛮行は続く 小屋敷琢己『<干潟の思想>という可能性』を読む
またここでも公然の暴力が・・・泡瀬干潟が土で埋められる
救え沖縄・泡瀬干潟とサンゴ礁の海 小橋川共男写真展 
漫湖干潟
辺野古
糸満のイノー、大度海岸
沖縄県東村・慶佐次のヒルギ

●東京湾の干潟(三番瀬、盤洲干潟・小櫃川河口、新浜湖干潟、江戸川放水路)
市川塩浜の三番瀬と『潮だまりの生物』
日韓NGO湿地フォーラム
三番瀬を巡る混沌と不安 『地域環境の再生と円卓会議』
三番瀬の海苔
三番瀬は新知事のもとどうなるか、塩浜の護岸はどうなるか
三番瀬(5) 『海辺再生』
猫実川河口
三番瀬(4) 子どもと塩づくり
三番瀬(3) 何だか不公平なブックレット
三番瀬(2) 観察会
三番瀬(1) 観察会
『青べか物語』は面白い
Elmar 90mmF4.0で撮る妙典公園
江戸川放水路の泥干潟
井出孫六・小中陽太郎・高史明・田原総一郎『変貌する風土』 かつての木更津を描いた貴重なルポ
盤洲干潟 (千葉県木更津市)
○盤洲干潟の写真集 平野耕作『キサラヅ―共生限界:1998-2002』
新浜湖干潟(行徳・野鳥保護区)
谷津干潟

●その他
加藤真『日本の渚』(良書!)
『海辺の環境学』 海辺の人為(人の手を加えることについて)
下村兼史『或日の干潟』(有明海や三番瀬の映像)
『有明海の干潟漁』(有明海の驚異的な漁法)
理系的にすっきり 本川達雄『サンゴとサンゴ礁のはなし』(良書!)


泡瀬干潟

2010-09-05 00:14:31 | 環境・自然

執念深く埋立計画が進められそうになっている、沖縄市の泡瀬干潟24wackyさんのクルマに乗って、はじめて訪れることができた(2010年8月)。

まずは、三番瀬や盤洲干潟など、東京湾の干潟との光景の違いに驚く。珊瑚礁のせいか、砂干潟とは言っても色が異なるし、その珊瑚礁が砂の上をごろごろしている。同じ沖縄でも、那覇の漫湖干潟や東村の慶佐次などマングローブが生育する汽水域とも様相が異なる。

まずは沖にどんどん歩いていき、ときどき息を潜めては生き物の存在に目を凝らす。カニも東京湾とずいぶん異なる。ゴーヤーのような甲羅をした奴はオウギガニの仲間か。毛むくじゃらのケブカガニは、糸満の大度海岸の潮だまりでも見た。

丸い穴が開いたカルデラ火山のおもちゃのようなものは、あまりの不思議さに驚いた。あとで木更津の本で調べたら、ツメタガイの卵塊(卵と砂とを粘液で塗り固めたもの)であり、砂茶碗と称する。貝がぐりぐり回りながら作っていくようで、実に奇妙。

それから、穴から透明な、あるいは透明に見える保護色の触手を長くヒロヒロと出している生き物が気になった。ゴカイ?ユムシ?まだよくわからない。

向こう側には第一期工事の縁が見える。何が「経済合理性」か、一瞬でも前原大臣に喝采を送った私は愚かだった。


泡瀬干潟 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


ゴーヤーのようなオウギガニの仲間 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


穴から外をうかがうケブカガニ Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


ツメタガイの卵塊 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


ツメタガイの卵塊 Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


ウミニナだらけ Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


じろじろ凝視する Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP


フェンス Pentax LX、FA77mmF1.8、Velvia100、DP

●沖縄の干潟・湿地・岩礁
泡瀬干潟の埋立に関する報道
泡瀬干潟の埋め立てを止めさせるための署名
泡瀬干潟における犯罪的な蛮行は続く 小屋敷琢己『<干潟の思想>という可能性』を読む
またここでも公然の暴力が・・・泡瀬干潟が土で埋められる
救え沖縄・泡瀬干潟とサンゴ礁の海 小橋川共男写真展 
漫湖干潟
辺野古
糸満のイノー、大度海岸
沖縄県東村・慶佐次のヒルギ

●東京湾の干潟(三番瀬、盤洲干潟・小櫃川河口、新浜湖干潟、江戸川放水路)
市川塩浜の三番瀬と『潮だまりの生物』
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三番瀬(2) 観察会
三番瀬(1) 観察会
『青べか物語』は面白い
Elmar 90mmF4.0で撮る妙典公園
江戸川放水路の泥干潟
井出孫六・小中陽太郎・高史明・田原総一郎『変貌する風土』 かつての木更津を描いた貴重なルポ
盤洲干潟 (千葉県木更津市)
○盤洲干潟の写真集 平野耕作『キサラヅ―共生限界:1998-2002』
新浜湖干潟(行徳・野鳥保護区)
谷津干潟

●その他
加藤真『日本の渚』(良書!)
『海辺の環境学』 海辺の人為(人の手を加えることについて)
下村兼史『或日の干潟』(有明海や三番瀬の映像)
『有明海の干潟漁』(有明海の驚異的な漁法)
理系的にすっきり 本川達雄『サンゴとサンゴ礁のはなし』(良書!)