壱岐坂ボンクラージュ(2020/9/8)。はじめて来た。出来てからまだひと月である。
Naoko Saito 齋藤直子 (as)
Hiraku Amemiya 雨宮拓 (p)
Tetsuko Kato 加藤哲子 (ds)
齋藤直子さんのプレイを観るのは実に3年ぶりのことだ。本人は音も変わったし楽器も変わったと言う(師匠の松風鉱一さんが使っていたクランポン、1975年の『At the Room 427』、1978年の『Earth Mother』、1981年の『Good Nature』で使ったもの)。確かに目の前で聴くと印象がかなり異なっている。昨年吹き込まれた『点字呼吸の領域』の印象ともちがう。
ユニークな点は楽器との関係ではないかと思える。一方で曲を演奏するために楽器を操る人がいて、他方では楽器の操作自体を前面に押し出す人がいる。これはジャズの曲を演ろうが即興であろうがあまり関係はない。直子さんはどちらでもなく、楽器の操作自体が物語性を孕んでいる。それも持続力が強化され、顎の角度も息の出し方もかなり大きく変化させていて、おもしろい。
雨宮さんはさすがの貫禄で、その時点の音を起点に四方へ音を強く飛散させる。セカンドセットでは左手だけで、ダラー・ブランド『African Piano』を思わせる奇妙な繰り返しの世界を作り、雰囲気を作り出した。加藤さんは音楽の強い足腰としてバスドラムを多用し、上方からはそれに負けないパルスを石礫のように放ち続けた。
この三者の音は不思議にも衝突せず、ときに対話にもなった。
Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF.24
●齋藤直子
『点字呼吸の領域』(2019年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
●雨宮拓
松風M.A.S.H. その3@なってるハウス(2018年)
松風M.A.S.H. その2@なってるハウス(2017年)
松風M.A.S.H.@なってるハウス(2017年)
M.A.S.H.@七針(2016年)
M.A.S.H.@七針(2015年)