Sightsong

自縄自縛日記

「フェルナンド・ペソアを語る夜」(澤田直+山本貴光)@千駄木ブーザンゴ

2023-10-22 23:02:23 | 思想・文学

千駄木のブーザンゴで「フェルナンド・ペソアを語る夜」(澤田直さん、山本貴光さん)(2023/10/22)。

ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアはすこし読んだのみだけれど、自分自身へのうたがいをやさしくエモーショナルなことばにしていて、すっと入ってくるところが好きだ。永遠に足場を信じられない者はたぶんペソアの詩を愛する。ふたりの話から、そのうたがいは、ひとりにひとつのアイデンティティがあるという前提を問いなおしているからでもあるのだと気づかされた。澤田さんは、アイデンティティとはその人固有の魂を想定するキリスト教的なものでもあるという。そして、ペソアにとってそれは絶対的ではない。

「もうずいぶんまえから、私は私ではない。」

ペソアは70もの異名を持ち、別人格でことばを発する人だった。かれが南アフリカで英語を学び、その時点で故郷も母語も明確でなかったことと無関係ではない。ポルトガル語のサウダーデ、郷愁、ペソアはそれを過去の特定の対象のみにではなく、複数の想像上の存在、それから未来のなにものかにも向けていた。


長沢哲+阿部真武@Ftarri

2023-10-22 07:46:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2023/10/21)。

Tetsu Nagasawa 長沢哲 (ds)
Masatake Abe 阿部真武 (b)

ファーストセットではふたりが空気を彩色した。阿部さんは遠くからなにかが近づいてくるような音で、これが外部の騒音と相まって想像の場所を拡張する。次第に空気の色が変わってゆくのが長沢さんならではでもあって、ふと静かになるとトンネルを抜けたどこかの空間でドラムスの音が際立って聴こえる。そしてシンバルを使った和音が何種類もあって、それが入念に重ね合わされた。

セカンドセットはノイジーでもあり、ふたりとも、音を下方向へと押さえつけるプレイ。やがてそれらが重力の軛から解放されてふわりと浮かび上がってくるような感覚があった。

Fuji X-E2, MIR-20M F3.5 (M42), Pentax SMC Takumar 50mmF1.4 (M42)

●長沢哲
長沢哲+遠藤ふみ@神保町試聴室(2023年)
長沢哲+阿部真武@Ftarri(2023年)
長沢哲+遠藤ふみ@神保町試聴室(2023年)
長沢哲+矢萩竜太郎+木村由+かみむら泰一+いずるばワークショップ@いずるば(2022年)
長沢哲+遠藤ふみ@神保町試聴室(2022年)
長沢哲+かみむら泰一@東北沢OTOOTO(2019年)
長沢哲ソロ~齋藤徹さんに捧ぐ@本八幡cooljojo(2019年)
長沢哲+清水一登+向島ゆり子@入谷なってるハウス(2019年)
蓮見令麻+長沢哲@福岡New Combo(2019年)
長沢哲+齋藤徹@ながさき雪の浦手造りハム(2018年)
長沢哲+近藤直司+池上秀夫@OTOOTO(2018年)
齋藤徹+長沢哲+木村由@アトリエ第Q藝術(2018年)
#07 齋藤徹×長沢哲(JazzTokyo誌、2017年ベスト)
長沢哲『a fragment and beyond』(2015年)

●阿部真武
大谷能生+高橋保行+阿部真武+林頼我@稲毛Candy(2023年)
Uquwa@神保町試聴室(2023年)
しばてつ+森順治+阿部真武+加藤哲子+古池寿浩@なってるハウス(2023年)
AccentGrave、鈴木彩文@神田Polaris(2023年)
サラダマイカル富岡製糸場グループ 、フジワラサトシ+遠藤ふみ+阿部真武@神保町試聴室(2023年)
インプロヴァイザーの立脚地 vol.9 阿部真武(JazzTokyo)(2023年)
Thieves@神保町試聴室(2023年)
長沢哲+阿部真武@Ftarri(2023年)
阿部真武+池田謙+遠藤ふみ@公園通りクラシックス(2023年)
Uquwa@神保町試聴室(2023年)
大蔵雅彦+阿部真武@水道橋Ftarri(2023年)
北田学+外山明+阿部真武@渋谷Bar Subterraneans(2023年)
阿部真武+本藤美咲@水道橋Ftarri(2023年)
北田学+外山明+阿部真武@渋谷Bar Subterraneans(2022年)
加藤綾子+阿部真武@不動前Permian(2022年)
細井徳太郎+阿部真武@水道橋Ftarri(2022年)
かみむら泰一+古和靖章+遠藤ふみ+阿部真武@神保町試聴室(2021年)
池田陽子+阿部真武+岡川怜央@Ftarri(2021年)