
鴻上尚史の作品で、やはり何重もひねりがある。時は90年代か、反政府軍が地下で政府軍と争っている。みんな、時代のアイドルキャンディちゃんを信望して、、。そして終盤にきてあの「スナフキンの手紙」が披露される。
パソコン通信の時代である。現代の若者からすると何のこと?と理解できない代物が劇の中心となるツールである。電話線の差込口からパソコンにつないでいた時代であります。当然、速度は遅い。ツイターとかブログが当たり前の時代に、オタク世代と思われていた人たちが使用していた通信手段であります。(ちなみに僕は使っておりませんでした)
検閲などない自由なコメントがどれほど重要だったか、泣かせるねえ。語られなかった言葉を語るというテーマが舞台から聞こえてくる。現代においてはさばき切れない情報量で、ネットの悪害が目立つご時世になっているが、当時は若者の純粋な心を吐露し、そしてそれを助けるものだったように記憶している。
いやあ、だいぶ劇から逸脱しております。
90年代の疲れた青年たちの心情を代弁するスナフキンの手紙。俳優は感情に襲われていたようで感動のシーンですが、客席へは意外と淡々としか伝わってきませんでした。何故だかなあ、、。
でもスナフキンのあの言葉のイメージは伝わったと思います。 鴻上尚史のこの劇はなかなか難解かもしれません。もう一回見て確かめる必要があるのかも。
俳優陣はみな頑張っていたと思います。髙橋紀子さん、朝陽和斗さんは発声も見事。そしてキーとなる山下裕矢さんも難しい役柄を難なく演じていたと思います。彼は背も高く舞台で映えますね。演出的にこの時代設定(とはいえ鴻上の架空時代設定なんだけどね)とかをもっと分かり易く表現した方が良かったのかもしれません。
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