ひぐらしのなく頃に卒 第三話:ループ世界で軽んじられる生命・人生への批判的視座

2021-07-13 16:30:30 | ひぐらし

もう箇条書きで考察する必要すらないので一言でいうと、完全に「鬼騙し編を別の視点で説明しただけの回」でしたな(ちなみに1話の感想はこちらで、2話の感想はこちら)。綿流し編→目明し編的な発展性すらなし、と。これならもうちょっと演出面に凝ってほしかったなあ・・・まあこれで記事が終わるのもおもしろくないので、いくつかの突っ込みと、こういった描写が大きなテーマとしてどのような意味を持ちうるのかを考えてみることとしたい。

 

1.梨花ワレ現場近くにおったんかい!

つかあのやり取りがあった間、ずっと軒先にいたってのが不自然よなあ(まあそれだけ心配していた→良かれと思ってやったことが裏目に出た絶望も大きい→すぐさま自殺ムーブに必然性を与える演出、てことなんだろうけど)。その割に通報者は確実に梨花ではないので、あの傷で圭一が生き延びれた不自然さも含め色々と謎のままであるよと(沙都子はそもそも通報する動機づけがない。魅音が違うのも作中の態度から明らか。親が帰ってくるのも数時間後くらいにはなるだろうから、それまでには出血多量とかで死ぬでしょうよ)。

 

2.鬼騙し編の梨花&沙都子の死亡説明が明らかにおかしい

あれだけの行為なんだから、沙都子はまだしも梨花は(傷口に対する包丁の角度とか包丁の柄に残った指紋とかで)自殺って警察もわかるんでは?さらに、血の海になった後で沙都子がその上に立っていたことは明白なんだし、色々と情報は得られるやろ(例えば、「圭一とレナの惨劇にショックを受けた梨花が衝動的に自殺を選択し、その現場を見て動揺した沙都子が同じく衝動的に自殺した」ぐらいのことは、事実と異なっているとはいえ想像はできそう)。このシチュで鬼騙し編の説明(話したのは魅音だっけ?)はさすがにないですわ・・・

 

3.命が軽いっすね~→ループ世界(正確にはループによって希望する世界を招来しようとする行為)への批判を暗示?

ループできるもんだから命の軽いこと軽いこと。もうアカンと思ったらじゃあもう死にますわって、いやいやさすがにあんな死に方は梨花も苦しいからイヤでしょうよ(目明し編でも「拷問狂がぁ!」と犯人に対してブチ切れており、記憶の継承云々の問題はあるにしても、梨花だって苦しんで死にたいわけじゃないのは明白だし)wこれじゃあまるで「視聴者をミスリードするための死に方」って感じで、ちょっとどうかと思いマス😅

ちなみにこの鬼明し編での露悪的な描写(沙都子が真犯人なのはわかりきっているので、わざわざ彼女に「計画通り!」的な表情をさせる必要はない)を見ると、沙都子の行為を批判的に描いていることは明白である(もちろん、レナを人為的に発症させることで改心したレナを殺させるなど話の展開的にも沙都子の悪辣さは明確なのだが、それにしてもわざわざ悪どさを強調する描写が目立ちすぎている)。これは「ループ世界によって軽んじられる人の命・人生と、それに対する批判的視座」と言い換えることができそうだ。

とするならやはり、一つ一つのエピソードの真相よりむしろ、「一体この話全体をどう着地させるのか」が最も気になるところではある。ここまでやっておいて、「今までの所業は全て梨花への愛がもたらしたものでした。かわいそかわいそです(にぱ~)」となったら、顰蹙どころの騒ぎじゃないのは明らかで、かと言って夢オチなんぞにしようものならもっと酷い評価にさらされるかもしれない(余談ながら言っておくと、ここで描かれる発想はいわゆる「なろう系」にも共通するもので、それは「なろう系」がある程度の評価を得る社会的背景=未来の閉塞感などにつなげて考えることもできる。そこからもう少し想像をたくましくすると、人間というノイズ混じりの「他者」との関係性を厭い、VR的世界に没入することを優先する未来なんかを連想することも可能だ)。

もし仮に、ひぐらし卒が悲劇的結末(少なくとも強い痛みを伴う終わり)を迎えることで、「大団円を目指したひぐらしという作品(的傾向)からの卒業」を意図しているのだとしたら、テーマとしても一貫しているとは思えるのだが果てさて・・・

 

てなところで今回は終了。次の第四話のレビューでお会いしましょう。さよなら、さよなら、さよなら・・・

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