デスノート~ヒーロー、ピカレスク、ピエロ~

2010-07-28 18:21:12 | レビュー系
ゲオの「7月まで100円作戦」に乗っかり、途中で止まっていた「絶対可憐チルドレン」を見ていたところ、最終話近くでデスノートのオマージュが出てきたのに興味がひかれた。白い巨頭などのオマージュも出てきていたし、「ハヤテの如く!」に到っては同作のキャラがチラっと出ることすらあったので、これ自体はそんなに特筆すべきものではないのだが、デスノートはタイムリーに読んでおり、しかも途中で投げ出したままだったのでこの機会にアニメ版を見ようと思ったのだ(opやedをホルモンが歌っていたので注目してはいたが、原作のネームの多さなどをどう処理するのかなどが気にかかりそのままになっていた。絶チルはまさにそういった部分をオマージュとして扱っていた…というのがより細かい理由)。さて、この作品に関する考察だとか演出の意図などはもはや様々なところでやられているだろうし、そこまで作品を読みこんでいるわけでもないので、気になったところや気にったところをつらつらと書いていくことにしたい。


まず、第一期・第二期ともにop、edが非常によい。
例えば第一期のopは使命を帯びた者の高揚感が上手く表現されており、同edは哀愁や憂いがにじみ出ているように思える(ただまあ歌詞にもあるように「孤独も知らぬtrickstar」として夜神月は描かれているのだが)。また第二期は、「神」となりつつある人間の狂騒、超越性がよく表れている(edで言えば、月がエレベーターで上って行ったり車が走る中を事もなげに歩く姿など)。まあそういった意味合いについては色々言えると思うが、デスノートの場合は映像的にかなり引き付けられたというのが大きい。普段DVDを見る時は、さすがに数話目からはopもedも飛ばすのだが、例えば第一期のopは最初のアップになっている月から対峙する月とLの場面まで思わず見入ってしまい、結局最後まで見てしまうという展開の繰り返しだった。もしこのような反応にある程度の一般性があるのなら、このopは初見の人たちを引き込むのに重大な役割を果たしたことだろう。これは原作の世界観(雰囲気)やテーマがかなりはっきりしていることと、それを的確に表現したスタッフの力の賜物だと思う。実際そのくらい印象的ですばらしいop、edであった。


って言ったそばから長々と書いてるなwとりとめがなくなるので本題の夜神月について。
この名前を見れば明らかなように、彼はピカレスクとして描かれている。またノートの効果を熟知しているとはいえ、自らがバスジャックに巻き込まれるように仕組んでも終始冷静であり、いくら頭がキレるとは言え超人的すぎる印象を受ける。まあそれは、容姿・知力・運動力といったものを全て兼ね備え、嫉妬などしようもないという設定に仕組んである(→ノートを使う方向性を限定する)ということとも連動するのだろうけど。ところでこの作品を楽しむ一つのポイントは、そんな月との距離感にあるのではないかと思う。人によっては、彼の行為に全面的に賛同するかもしれない。一方で全面的に反対する者もいるだろう。とはいえ、多くの人は賛成(or理解)できる部分(or理解)とできない部分をそれぞれ持っているのではないかと思う。実際、作品自体も受け手が違和感を持つであろう仕掛けを何か所かに配置しているのが見受けられる。それは例えば「マスコミに出ている悪人しか裁かない」という偏りであったり、家族に何かが起こっても(心からは)感情を動かされることはない様子であったり、また利用した者の切り捨て方(例えば高田)であったりする。それぞれ仕掛けの箇所はばらけているが、どの場面でどれくらい彼に違和感を持つかが、この作品の受け取り方を決定的に影響を与えるだろう。


ちなみに漫画を見た当時の私は、完全に月寄りだった。
まあレムの最期あたりまでしか読んでいなかったというのもあるだろうが、マスコミというフィルターを通した裁きであるとか、海砂に対する態度は死神たち(ジェラス、レム)の方がよほど「人間的」(≒自己犠牲や他人への思いやりがある)などといったことは当時全く意識もしかなった(死神の「人間性」を月と対照的に描くことで彼の超人性・自己中心性が浮き彫りになるという演出)。これは読み能力の低さもあるが、おそらく「病的な完璧主義」で書いたような自分の性質が、月の行動を必然的だと思わせたのだろう(ちなみに、その「病的な完璧主義」による滅びの希求が高校時代の内省の中で一気に吹き飛んで、大学では「どうでもいい」が口癖の人間になったというような書き方を今まではしてきたが、少し違うのではないかというのが最近の自分の見解だ)。さらに言えば、マスコミの情報を介した裁きということを聞いてその偏りが連想できなかったということは、「マスメディアというものには情報の偏りがある」という思想が単なるクリシェとしてしか生きていなかったことを意味する…などなど、そういったことを再確認できただけでも大きな収穫だった。


さて、次にキャラクターの感想など。
まず、なぜか南空ナオミがえらいゾクゾクきた。それはもう背中に突き抜けるような衝撃で、思わず「この痛みずっと待っていた!」と某忍者のセリフを口走ったとか何とかwちなみに海砂はこなたの声だったので大いに笑えました(まあ場違いなアニメ声で浮いた印象を狙ったのだろうけど)。ちなみに目隠しされた(監禁状態の)ミサがエロすぎて危険なのですがあなたどう思いますか?そして何よりエル。もうね、いじけてる姿が超かぁいいのw正直前は何でエルのスピンオフ作品が作られるのかわからなかったけど、今回ので理解できました。エル超萌えですw


では最後に。
少なくともこのくらいの作品でないと、ヌルすぎて死にそうだ。もっと痛みをくれ!もっと!!もっとだ!!!!

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