flutter of birds:髪の描き方・演出について

2015-09-02 17:46:28 | ゲームレビュー

日本のアニメ絵を見た時、大きすぎる目を筆頭として、どこで結んでいるかわからない髪など突っ込み出したらキリがない。その意味で言えば、本作品で描かれる大げさ・極端な髪もそのような性質の延長線上にあるものかと認識してしまいそうになる。しかしながら、美浜つばさにとっての髪の重要性であるとか、美雨・大気の二人だけがショートカットであることなどから、キャラクターによって主人公の呼び名が異なりそれが主人公との関係性(+彼に期待する役割)をよく表していたとのと同様、そこに演出的な意味を見出すべきだと思うのである。

 

[原文]

さて、ここでflutter of birdsの髪について書こうと思う。本来は他の記事のついでに言及してもよかったのだが、説明には画像が必要だったのであえて別に立てることにした。


まずは掲載した画像を見てほしい。これほど長い髪で、しかもこれほどたなびくなどありえないことだ。当然、普通なら真っ先に突っ込むべき部分だし、私もそうするだろう。ところで昨今では、変な髪形やあり得ない髪型がもはや突っ込みを前提として設定されていることも多く、その意味では今述べたような髪型も一種の「お約束」になってしまったと言える。しかしこの作品の場合、単に受けを狙うとかキャラを立たせるとかに止まらない効果や意味が与えられているのではないかと考えられる。というのも、例えば掲載している画像の如く、髪がまさに絵の一部となって幻想的な雰囲気を演出していると感じるからだ。この他、琴羽が吊り橋の上に立っている姿、メーが黄金の小麦畑の中で笛を吹く姿、白風が丘の上で横になっている姿など、髪は単なる身体の一部ではなく、絵全体や状況を演出する材料として上手く使われている言えるだろう。もちろんそれが良いと感じるか煩わしいと感じるかは人それぞれだ(※)。しかし、少なくともそういった演出の意図は指摘しておく必要があるように思う。


さて、映像的な演出という意味合いに加えてもう一点指摘しておかなければならない。それは、髪の短いキャラが二人だけいるということだ。もちろんこれだけだと何の意味も無いが、該当者が大気と美雨とくればさすがに無視するわけにはいかない。というのも、プレイした者には周知のように、この二人はプレイヤーの幼馴染という独特の位置づけにあるからだ。もっとも、その二人が短髪であることにそれ以上の意味があるのかはわからない。一応「変わらない関係の象徴」だとか「止まった時間の比喩」などと推測できなくはないが、正直強引な気がする。そこでちょっとキャラの成立事情から推測してみよう。


まず大気は、その特異な位置づけを強調する意味もあって短髪になっていた。そして次に、最も身長の低い(143cm)美雨を長髪にするとかなりバランスが悪いということでやむなく短髪になった。最終的には、幼馴染という共通性の演出という意味も手伝だって、二人が短髪という設定ができあがった。短髪が二人だけになる経緯としては可能性の高いものの一つだと思うがどうだろうか。


ちなみに、髪と言えばつばさがそれを自慢にしていたことを思い出す(そしてそれが抜けるというイベントがあったことも)。そしてつばさが、幼馴染ではないにもかかわらず、大気と美雨と同様に二つのシナリオを持っているのを考えると、彼女の髪へのこだわりもまた気になるところなのだが、今のところ全く何もわからない。一応今後の課題としておきつつ、もし何か思い当たる人がいれば助言をいただきたいと思う。



例えばつばさが浴衣を着て蛍の飛ぶ幻想的な空間に立っているというシーンがあるのだが、そこではピンク色の髪が幻想的な背景を台無しにしており、演出的には失敗だと言える。思うに、空に溶け込む髪の色(青や黒)であればこそ、背景を引き立てる材料になりうるのではないだろうか。それゆえに、白風(青)や琴羽(黒)、メー(水色)の画像は演出的に成功したのだと思う。


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