WHITE ALBUMのレビュー再掲第二弾ですわ。ふぅ・・・
え、何でアンニュイなのかって?元々は「寒い」で始めたこの作品のレビューだが、ついでに「凍りの掌」を読んだら完全に魂を持っていかれたんでね・・・一応ソルジェニーツィンも読んだことがあるし、極限状況の描写にはそれなりに耐性があるつもりだったが、極限状況での裏切り、そして祖国へ戻ってからも疑惑の眼で見られるやるせなさ。物理的な厳しさも去ることながら、自分たちの苦難に意味を見出すことすらできない仕打ちというのがきつすぎる(これは独りシベリア抑留に限らず、たとえば「夕凪の街 桜の国」などで描かれるような被爆者差別なども連想させる)・・・これはもう「火の瞳」で中和するしかない!(゚∀゚)アヒャとか冒涜的なネタ書かねーと精神の均衡が保てない状態に一時的になっておりマス。
てゆう現状報告はさておき、今レビューを見返すと、大上段に構えてるのか感情論で突っ走ってるのかよくわかんねー内容じゃのう。まあ内容を端的に言ってしまうと、「誰か好きな人がいたら、その人とずっと一緒にいるはずだ」というのは一種の思い込みであって、そういう場合もあればそうじゃない場合もあるってことだろう(じゃなきゃ浮気や不倫がこれほどこの世にひしめている理由が説明できませんわ)。ただ、制度設計上はそうしておかないと色々めんどくさいから一夫一妻制がとられている、て話じゃないかねえ。
そしてこの話を今の俺の問題意識につなげるなら、人工知能や「沙耶の唄」のレビューとなる。つまり人間の感情の動きが今後解明されコントローラブルになってきたら、今述べたような事柄はどのように認識されるようになるのだろうか?バタイユやフーコーの視点も併せて、世界がどのようにリフレーミングされるかに俺はとても興味がある・・・ってなんかやっぱ大上段な話してんなwまあ少なくとも俺は10年経っても成長がないってことですわい(゚∀゚)アヒャ
【以下原文】
はるかシナリオと弥生シナリオの内容をあまり覚えていなかったので、先日からWhite Albumの二回目を始めた。何だかんだで覚えていた理奈・美咲シナリオもクリアし、後はマナ・由綺シナリオを残すのみとなった。コンプしたらレビューを書くつもりだが、美咲シナリオにおいてゲームのコンセプトと推測される部分があったので引用しておくことにする。なお、「」部分ははるかのセリフで地の文は主人公の心理にあたる。
[作品コンセプトin美咲シナリオ]
「『どうして』なんて考えない方がいいよ。多分誰もわかんないから」
誰も…恐らく、美咲さん本人も。でも、もし等しく答を出せないままだとしたら、よりつらいのはどっちなんだろう。愛される方か、それとも、愛するほうか…。
「どうしてこんな…なんて、『どうして』じゃないんだよ。きっと」
答を出せないものを問いとして持つのが苦痛なように、答が永久に変わらないものを問いとして持つことも、等しく苦痛だ。たとえば、恋愛だとか。それらは常に、自分を傷付け、消耗させる。相手がじゃない。自分が、だ。…全ては自分なんだ。大切なのは自分がどうかっていうこと。自分は誰を見つめているかっていうこと。
…確かにそれは簡単には、或いは永久に判らないかもしれない。だけど、相手を気遣うふりをして恋愛の温度から逃れるには、俺達は幼すぎる。問題から逸らした目で相手を見つめるには、俺達はあまりに正直で不器用すぎるんだ。どういう手段に逃れても、お互いに痛みを覚えながら、それでも相手を求める結果になってしまう。…それなら、むしろ自分から見つめ続けるしかないじゃないか。
相手も傷つき、自分も消耗するんだったらむしろ…。(中略)
「『こんなはずじゃなかった』ことなんて、きっと、無いんだよ」
[其の2]
こんな風に俺達は、再び、何かを裏切る。俺達の知っている、いろんな誰かを…。(中略)
…そうだ。俺達の恋心は、情熱か、誰か、愛すべき誰かを、裏切ることでしか成就しない。残酷なことだけど。…解答は、最初からわかってたんだ。ただ、それを認めるのがつらいから、二人とも、何も判らないふりをして、悩む姿を装って、ひどい遠回りをしていただけなんだ。弱く、ずるかっただけなんだ。結局どうやっても、貪欲で脆弱な心の逆証明をするにすぎないんだったら、受け容れることと同じなんだったら、もう、逃げることに意味はない。それならあえて、罪を犯そう。
[コメント]
人の気持ちは、全く非論理的に移ろうことが往々にしてある。ましてや、恋人が遠くにいて身近には自分を見てくれている人がいるという状況の中ではなおさらだ…White Albumのストーリーと上のセリフ群はそのコンセプトをプレイヤーに伝えてくれるのだが、そういった偶然の要素をプレイヤーに納得させるのは非常に難しい。例えば、由綺と別れるという選択肢はないのか?という突っ込みが出るだろう。由綺と(一応)付き合いながら美咲に気持ちがいくこと、またそれへの罪悪感はわかるとしても、そこから「じゃあ美咲も」となる必然性は弱い(一応彰が怒ってくれてますw)。要するに、由綺とそのまま付き合っている必然性が弱いってことだろうか。まあ(どっからが二股やねんという問題も含め)「二股かけてました」と言いにくいのは一般的にわかるし、由綺の場合デリケートな環境にいるからなおさらだろう。しかしそれが理解できても、その辺の感情の流れがプレイヤーにしっかりと提示されていないため、説得力がない。固定イベントはせいぜい2~3時間程度しかなく、それで複雑な人の感情の流れを納得させるのは困難だ。この辺、以前書いた通り余計な会話イベントが完全に足を引っ張っているわけで、ゲームの作り方・演出において失敗していると言える。
これで最も本質的な部分については提示できた。次回はマナ・由綺も含めた全キャラのシナリオ&人物評をしようと思う。
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