森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

水を溜める アナナスの一種

2012年03月16日 | 自然観察日記
パイナップルは多くの国でアナナスと呼ばれているのだそうですが、この仲間の水対策は巧妙です。茎に付く葉の部分を利用して水がめを作っています。水に沈んでいる花芽や、水に接触している部分の耐水性を高め、菌などにも冒されにくくしています。過湿にすると根腐れするなどという心配はないようです。面白いですね。
なんでこんなことになったのでしょうか。どうも答えは彼らの住処にあるようです。よほど水事情が悪いのでしょうね。多くのアナナスは熱帯アメリカに分布していますが、熱帯アメリカといえばあまり水事情は心配しないでよさそうな場所・・・。しかし、ここは大森林地帯であるため、彼らは着生という生き方を選んで生き抜いたようです。樹上は雨は降っても直ぐに流れ落ちるために、極度に水事情が悪い場所なんですね。そこで考え出したのがこんな仕組みなのでしょう。
こういう適応は単子葉の植物で出来ることで双子葉の種にはみられません。また、乾燥にも強くしておく必要があるために少々の水切れは耐えられます。この点をもっと進化させたのがエラープランと呼ばれるチランジアの仲間なのでしょうね。