森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

セツブンソウ

2012年03月27日 | 自然観察日記
長年思い描いていたセツブンソウに会いに行きました。長岡市はもううんざりの雪模様。そんな中、一路長野の群生地目掛けて車を走らせます。途中、上越辺りは吹雪に近い状態の時もあって暗い気持ちを抱きながらの旅です。妙高辺りの積雪の多いこと!まだ2m以上はあろうかという壁。ところが、長野に入るとまるで別世界ですね。越後の人間は信州は寒いというイメージを持っている人が多い気がしますが、この季節は全く逆で信州のほうがずっと春です。雪もないし日差しはありますから、同行された方の驚きもよく分かります。
それはそうと、信州で北限の分布地といわれる千曲市に出向きました。事前に日程調整をしたためにぴったり満開のセツブンソウ群落を見ることが出来ました。小さな花とはいえ、3万株くらいあるといわれる群落は感動です。種子から開花するまで数年かかる花です、自生の個体をみるのは本当に感動です。群落内には1枚の葉のみの発芽株も八重になったものもあり、さまざまな顔を見ることが出来ました。雪国から出てきて早春の花を堪能した一時、まだまだ時間が欲しいところでしたね。

セツブンソウ 花拡大

2012年03月27日 | 自然観察日記
キンポウゲ科の花の多くが花弁様のものはがくですということは何度も触れてはいますが、セツブンソウもその仲間。一見すると黄色のものがおしべのように見えてしまいますが、これが花弁が変化した蜜腺で、青黒いのがおしべ(両側が白くなっているところが花粉が出てきたところ)、中央のやや赤みを帯びたものが雌しべです。花弁のような白い最外片ががくです。やっぱり間違いやすい花です。
しかし、そんなことはどうでもいいことかもしれません。小さな花を見ることでとても幸せになれ、一緒に来た人とも気持ちが通い合えたのですから、この花の存在に価値があるのです。

オオイヌノフグリ

2012年03月27日 | 自然観察日記
セツブンソウが早春の花とはいうものの、群落に行く手前の日当たりのいい草地にはオオイヌノフグリが花盛りです。こちらはどこにでもあるということから気にも留められない点はあるのですが、とても美しい花です。その輝きはセツブンソウの比ではありません。ヨーロッパからの帰化植物だそうですが、在来種にイヌフグリがあったばかりに可哀想な名前の呪縛からのがれられないのが残念ですね。