秋田に「あがりこ」という言葉があります。雑木を薪や炭にするために切った株が萌芽し根元が株立ちになったものを言うようです。何回かこういうことを繰り返すと株は独特の景観を持つようになります。このオオミスミソウが咲く斜面にはこの「あがりこ」状態の雑木をいくつか見ることができます。つまり、この林はかつて人が一定の間隔で木を切った場所だということがわかります。全くの自然の状態ではないのですね。ここは里山という範疇にはいる場所なのです。そういう林床にオオミスミソウは生育していて、人との一定のかかわりを持って成立している群落のように見えます。オオミスミソウはれっきとした里山の植物で、人と共に生きている種、乱獲さえしないで適度に雑木を切る行為を行えばずっと存続するのではないでしょうか。