森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

アオノツガザクラ

2014年09月06日 | 自然観察日記
ツツジ科の低木も次々に出現します。久しぶりに新鮮な花にお目にかかったアオノツガザクラ。この花にはちょっとした思い入れがあります。
学生時代のこと、ようやく植物になじみ始め、かつ山登りにも目覚めた頃でした。単独で南アルプスの北岳を目指して長い登りを喘ぎながらようやく尾根筋にたどり着いたときにこの花を目にしました。それほど派手な色彩ではなかったものの妙にこの花に癒され安らぎを与えてもらいました。その時は名前も知らずただ見ているだけでした。緑色の壺を逆さにした花が気になって自分で調べたのか教えられたのかは定かではありませんが、「アオノツガザクラ」と知りました。「妙な名前だなぁ!もう少しロマンのある名前がいいなぁ・・」というのがその時の印象でした。ややあって、当時の大学教授の授業でこの花が出てきました。私が「アオノツガザクラだ!」と一言発声したら、「田所よく知っているなぁ!」と褒められたのが植物の世界に嵌ったきっかけなような気がします。ちょっとしたことが後で思い返すと大きな転換点。「人生とはそんなもんだな・・」などとこの年になって思い返しています。


アオノツガザクラ 花

2014年09月06日 | 自然観察日記
青いというより白い花といった方が正しそうです。壺の形はなかなかの名作でこの中に入った虫は暖かく居心地がいいから縦横無尽に動き回って花粉をたっぷりつけて出ていくことでしょう。葉がツガの樹の葉に似ているからですが、ツガは大木になるのにツガザクラは木でもなんと小さいのでしょうか。適応という点で観察するとこの造詣の妙に感心します。