森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

トチカガミ

2014年10月02日 | 自然観察日記
数年前に里山の整備が行われアサザ池ができました。このアサザは県は絶滅危惧Ⅱ類に分類されている貴重な種で、実にうまく環境適応し旺盛な生育を行い多数の花を咲かせてくれています。ところが、この整備に伴って紛れ込んだのがトチカガミという水草です。花は純白ななかなかかわいい花ですが、アサザと一緒にいると繁殖力が勝るためにアサザを覆いつくし被圧植物になってしまいます。これでは、せっかくのアサザ池も台無しですから、仕方なく池に入ってトチカガミを抜き取る作業が必要になります(この作業が半端なものでないことは申し添えおきます)。

トチカガミの旺盛な繁殖のようす

2014年10月02日 | 自然観察日記
葉の裏側がスポンジ状のふわふわした部分があって特徴的です。繁茂すると水面に浮いていた葉が盛り上がってきます。これが10cm以上の重なりになって一緒に住んでいたほかの水草を覆ってしまいますから、光量不足で死滅してしまうというわけです。すごい力ですね。水面を覆っていたアサザを押しのけて覆いかぶさるわけですから・・・。

トチカガミの花

2014年10月02日 | 自然観察日記
ところが、このトチカガミも新潟県では絶滅危惧Ⅱ類に分類され保護を検討しなければならない存在です。環境省のリストでも準絶滅危惧種に指定されているます。しかし、丘陵公園内では完全に悪玉の雑草扱いで水の中から抜き取ったトチカガミが山積みになっているのですが・・・。もう少しおとなしい性質なら、アサザと混在してくれるなら苦労はしなくて済むのですが・・・・。得てして水草の仲間はツボにはまると恐ろしいほどの繁殖力を示します。逆に水質の変化などで一気に消滅してしまうという側面があります。水草の絶滅危惧種に指定されているものの多くが農薬に弱い面があり、近年急速に個体数を減れしていますが、里山フィールドミュージアムなどの無農薬の水辺は彼らに格好の生活の場所を与えているという側面があるのです。