森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オヤマボクチのドライフラワー

2012年04月22日 | 自然観察日記
昨年の花の後が壊れずにそのまま残っているのは、オヤマボクチです。雪に押されても型崩れがあまりありません。春の乾いた空気はよく乾燥します。まさにドライフラワー状態ですね。その枯れた茎が出ている辺りに瑞瑞しい若葉が開き始めました。白い毛が目立ちフワフワした感じ。この綿毛を利用して、越後の人は蕎麦の「つなぎ」に使ったり、団子の中に入れていわゆる草もちにしたりします。

ヤマアイ

2012年04月22日 | 自然観察日記
急な下り坂で膝に違和感を覚えるころ、ようやく目的の下山口に着きました。その手前の杉林に隣接した日陰の草地にヤマアイの群落が出来ていました。つい見逃しそうな花ですが、先日の強風で痛んだ葉が可哀想な状態ですが、かすかに雄花が開いています。藍染として有名なアイではありませんが、この種も多少染色に利用されたといいます。長岡辺りでは見かけない種ですが、新津あたりの里山には沢山ありましたから、比較的海岸に近いところに住んでいるようです。

角田山 キツネノカミソリ 群落

2012年04月21日 | 自然観察日記
驚きの一つにキツネノカミソリの多さです。もちろんこの季節は花はありませんが、青々とした葉が一斉に伸びだして、斜面いっぱいに被っている様は圧巻です。場所によってはカタクリと競演しているところもあります。カタクリとキツネノカミソリの球根の深さに差があることが共存している理由でしょうか。いわゆる根系の住み分けです。夏の終わりから秋口にかけてのキツネノカミソリの花園はきっとすばらしいことでしょう。秋の角田山には登ったことがありませんが、この群落を見に来なければなりません。

角田山 コシノカンアオイ群落

2012年04月21日 | 自然観察日記
コシノカンアオアイもところどころに群落を作っています。地際ではいつくばった花が所々見られます。1Km分布を広げるのに1万年かかるといわれるカンアオイ、大切にしなければならない種の一つです。

角田山のエンレイソウ

2012年04月20日 | 自然観察日記
キクザキイチゲにも感じたことですが、ここのエンレイソウは非常に小型です。単に栄養が悪いと片付けられないようです。尾根の貧栄養環境の個体ですから、成育不調は考えられますが、比較的生育環境のよさそうな場所でも小さな個体です。遺伝的に固定されている形質のようなのです。詳細な調査を行えばきっと面白い事実が明らかになることでしょう。

エンレイソウ 花

2012年04月20日 | 自然観察日記
一見した花は「小型」を除けば県内に生育するエンレイソウと変わりはないような気がします。花弁(外花披片)の色は褐色で、幾分しっかりとした色を持つことも違いと言えば言えるかもしれません。

角田山のミチノクエンゴサク

2012年04月19日 | 自然観察日記
地味な存在なのですが、ミチノクエンゴサクという小さな花のエンゴサクが角田山登山道沿いに生育しています。カタクリに見とれていると目に留まらない代物です。そこそこの量があるのですが、気づかない人が多いですね。エンゴサクの仲間は近くにもう一種、エゾエンゴサクが生育しています(移動中の車の中から確認したのですが・・)。しかし、登山道沿いには1個体も見かけません。尾根道のため幾分乾燥している環境です。こういう場所は住み辛いのでしょうか。

ナニワズ

2012年04月18日 | 自然観察日記
明るい雑木林の林床にぽつんぽつんではありますが、ナニワズの黄色の花が彩りを添えていました。ジンチョウゲ科の花で別名「ナツボウズ」といいます。確かに、夏になると実を残して葉を落とす性質があります。その実は赤く熟すと鳥に食べられて無くなってしまいますから、まさに「ぼうず」です。
越後にはもう一種似たような種があります。オニシバリという種ですが、これもジンチョウゲ科です。同科にミツマタがありますが、ミツマタと言えば和紙の原料。名前からしても、当然オニシバリも繊維が丈夫なことが伺えますね。ナニワズの皮をはがして引っ張ったことはありませんが、きっと似たような強靭さがあるような気がします。

キクザキイチリンソウ

2012年04月17日 | 自然観察日記
キクザキイチリンソウも極普通に野山にある花です。しかし、ここ角田山の登山道ではそれほど多くはなく、わずかに湿り気のある場所に群落が見られ、それ以外は点々と見かける程度です。気づいたことは尾根筋に見られる個体はいずれも小さい個体で花も丈も小ぶりです。遺伝的なものような気がしますが、栄養や水分条件などの環境的な理由によるものかもしれません。

キクザキイチリンソウ 青い花

2012年04月17日 | 自然観察日記
キクザキイチリンソウは白花と青い花があります。丘陵公園のエリアは全て白花で青い花は見かけません。調査したわけではありませんが、経験的に青い花の分布は海岸に近いほうになっているようです。角田山には両種がみられます。
分布問題については、そのうち調べようと思いつついまだにできていないテーマです。どなたか情報を寄せていただけるとありがたいですね。

角田山 春の雑木林

2012年04月16日 | 自然観察日記
関東ではすでにサクラも散り新緑の季節になっているようですが、越後丘陵公園の里山フィールドミュージアムはまだ雪の中です。すごい季節の差を感じますが、越後の中でも海岸に近いところと長岡では結構差があります。先日、うまい具合に晴れた日角田山に出かけました。花の山として有名な場所ですから、大変多くの方が登山されていて大賑わいです。山頂はまだ50cmも雪があるということでしたから、途中までの散策にして日差しがたっぷり注ぐ雑木林を楽しみました。林床にはオオスハマソウやカタクリも見られ、久しぶりの気持ちのいい時間でしたね。サクラ(カスミザクラ)やイタヤカエデ、コナラなどの雑木林はようやく越後にも春が来た来たことを実感させてくれました。

角田山 雑木林のカタクリ

2012年04月16日 | 自然観察日記
越後ならカタクリの風景はいたるところに極普通にあります。普通にある花でも雪消えの後最初に見る花には格別な思いがありますね。ここ角田山のカタクリ群落は、コースにもよりますが、なかなか圧巻です。登山道の両側に延々と咲いていて、そのうち「見飽きた」というほどの量があります。ほんとうに越後の自慢できる花の山です。大切にしたいですね。(オオミスミソウ<雪割草>もそうだったはずですが、今は局所的に存在する状態になってしまいました)

ベゴニアの雄花雌花

2012年04月15日 | 自然観察日記
これはキダチベゴニアというベゴニアです。1つの花穂に雄花雌花が混在しているのに気づいて、その比率を調べてみました。大株のベゴジアで、花穂は総状花序で6つくらいありましたが、はっきりした法則性は見つけられません。一見雄花ばかりの花穂のようでも雌花が少数混じります。又その逆もあります。そして、花穂の中でそれらができる位置もまちまち。
雄花になるのか雌花になるのか、そのスイッチはどういう仕組みなのでしょうね。またそのスイッチがどういうタイミングで入るのでしょうか・・?。分子レベル的な追跡は私にはできませんから、こういう疑問は永遠に謎のままです。
私は、ベゴニアは花屋で流通するものしか目にしませんから、どれが野生種でどれが園芸種か残念ながら判別できません。聞くところによると多くの園芸種が出回っているそうですから、目の前にあるのは自然の性質をそのまま現していないのかもしれません。(左が雌花、右が雄花 子房下位です )

コモチクジャクヤシ 若い実

2012年04月14日 | 自然観察日記
ヤシ科の植物を見るのは新潟県では植物園が最適です。県立の植物園では大型のヤシ類が数種類植栽されていていろいろ参考になります。シュロなどある程度耐寒性を持っているものもありますが、ヤシ科の植物はほぼ熱帯性。なぜこの仲間は寒地に適応しようと進化してこなかったのでしょうか?。構造的な問題があるような気がします。
イネ科は形成層の関係で木本であっても広葉樹とは違い年輪形成はできません。年々肥大して大木になるということはありませんが、茎は成長は遅いものの強靭で30mくらいの樹になるものもあります。ヤシ類の幹の断面を詳細に見ているわけではありませんが、維管束の繊維が硬化発達するのではないでしょうか。
コモチクジャクシヤシという種の若い果実です。よくよく見てみるとその配列の規則性がよく分かりません。ヤシ科の花はすごい量の小さな花が塊になって垂れ下がります。この段階の花の付き方はきっと規則的に配列しているのでしょうが、結実した花には必然性がないために結実した位置の花軸が発達するためにこうなるのでしょうね。