越後にはサカキがないためにヒサカキで代用し神棚に備えます。海岸に近い山地にはごく普通に自生していますから時々はそこからいただいて神棚に上げている人も多いことでしょう。この季節、ヒサカキが自生する近くを歩くと特段に独特な臭いがします。個人的には好きでない臭いなのでヒサカキはあま好印象ではありませんね。しかし、花は小さいながらも可愛く整った形をしています。花からツバキ科を連想することはなかなか難しいかもしれませんがれっきとしたツバキの仲間です。
早春の花にキクザキイチゲを忘れてはなりません。まだ枯野原の時に枯葉を押しのけて出てくる花で白い花と青い花があります。私の見ている範囲での話ですが、国営越後丘陵公園を含む越後丘陵はほぼ100%白い花で、海岸に近い場所や信濃川の東側に行くと青い花が目立ちます。もちろん白い花もあるのですが、丘陵公園近辺には青い花がないのとは対照的に青い花が多く白い花と混在しています。さらに、青い色にも濃淡があって、上越に行くほど青さが増してくる気がしています。きちんとした調査をしていなく通りすがりに覚えていることを並べるとそういう結果になるというだけのことで、機会があったらしっかり調べてみたいですね。
ところで、この花弁状のものがなんで「がく」なのか常々不思議におもっているのですが・・・。雄しべや雌しべはたくさんあるのに・・・。
ところで、この花弁状のものがなんで「がく」なのか常々不思議におもっているのですが・・・。雄しべや雌しべはたくさんあるのに・・・。
早春に舞う蝶は蛹から羽化するものばかりでなく冬を成虫で過ごしたものが多くいます。おもにタテハチョウの仲間でアカタテハやルリタテハなどがその例ですが、テングチョウもその一種です。目の前を横切るスピードは速くとても目で追えないくらいなのですが、案外近場の路面などに急停止します。そういうときがカメラチャンスですね。とはいっても接近するのは難しく、高級な一眼レフカメラでないといい写真は難しいのですがデジカメを最大倍率で撮ってみました。何とか、頭が尖っているのがわかります。もちろん翅の文様がテングタテハ独特の文様ですから頭部の特徴がなくても判別できます。
道路わきの湿った落ち葉の上にもぞもぞと動くカニを見つけました。気温が低いせいか動きが鈍く甲羅を触っても反応が鈍かったですね。まだ出てくるのが早かったようです。こういうサワガニがそれなりに車が行きかう民家近くの道路沿いに出てくるあたりが、まだまだ自然が豊かなのだと安堵した一コマです。
いわゆるハコベのこと。花びらは何枚?と聞くと一生懸命に数えて10枚という人が多いのですが、実は5枚。2枚に見えるものは下部でくついているというか、切れ込みがすごく深いので2枚に見えるという次第です。道端に普通にあります。
スゲの仲間ですが1m以上にもなる大型のもの。といっても垂れ下がる雰囲気が大きいので背が高いという感じはしません。まだ伸び始めたばかりですから10cmそこそこの状態です。しかし、この段階で花を咲かせ始めるのですね。茎が伸びながら咲いていき伸びきったころは結実期ということになります。滴がしたたり落ちるような崖に群生していることが多いものです。花穂の雰囲気から「たぬき」は納得できます。説明しろといっても出来ないのですが・・・。
これは雌花(雌花序)で柄があり垂れ下がります。白いもやもやとしたものは雌しべの花柱です。
これは雌花(雌花序)で柄があり垂れ下がります。白いもやもやとしたものは雌しべの花柱です。
ヤナギの仲間はなかなか手が出しにくい難しいグループの一つです。ヤナギの花は春一番に咲きこの季節にしっかりと観察しないといつまでたっても分からないままの状態になってしまうので意識的に花を見たら観察することにします。しかし、低木ならいいのですが手の届かないところに咲いている花は困ってしまいます。中越地域で里山で見かける低木のヤナギはオオキツネヤナギが多くあります。花はやや太長で一度感じをつかむとだいたい判別できます。ヤナギは雌雄異株の植物で、雄株と雌株を把握しないと片手落ちになりますね。
花穂をよく見ると黄色い花粉が付いているかいないかで雄花雌花が判別できます。これは花粉が認められますから雄花ですね。雄花は雄しべだけで花弁はありませんから、これは雄花がびっしりと並んだ花穂ということになります。
前者と同じような花穂ですがよく見ると花粉はありません。雌しべだけの花で雌花の集合体になっています。(ただし雌しべの周りに毛がたくさんついています。結実し種子が熟した後綿毛状態で風で飛散するためにあります)
少し地味かもしれませんが、素晴らしい花だと思います。雪国に分布の中心があるアズマシロカネソウは越後が誇る山野草に含めてもいいのでは②でしょうか。やや日陰の渓谷の崖などに点々と自生しています。あまり大きな沢でなくてちょろちょろと流れる小沢の岩場などで良く見かけます。平坦な場所ではなくて、垂直な切り立った面の凹凸を利用して生育している優しい花ですね。ときどきは水しぶきをかぶる方が機嫌がいいようです。
キンポウゲ科の花で萼片は上に位置する1~2枚がエンジに近い色のものがありますが他は黄色みがかった白い色。丸みを帯びた花は全開せずふんわりと何かを包むよう・・・。何とも言えない優しさがあり人を引き付けるものがあります。
間違えやすいのですが、写真の黄色いものが花弁で、花弁のように見える外側のものはがくに当たります。雌しべは2個、雄しべは多数あります。
間違えやすいのですが、写真の黄色いものが花弁で、花弁のように見える外側のものはがくに当たります。雌しべは2個、雄しべは多数あります。
いつでも見ることができる花のような気がしますが、タンポポもやはり春の花。土手などにぽつんと花が咲いているとやはりうれしくなります。いつしかタンポポをみるとすぐに総苞片の様子を点検する癖ができました。反り返っているかいないかを見るためですね。在来のエゾタンポポだとなぜかとてもうれしくなります。セイヨウタンポポでもそれほど毛嫌いをしなくなりましたが、在来のタンポポはもう眼の中に入れても痛くない・・・。大げさかな?
葉に囲まれた奥のほうにはつぼみがいくつかあります。苞片に包まれた球形つぼみは普段見過ごされがちな造形です。この苞片が花が咲くときにどういう状態になるのかが在来か外来かを見極める方法の一つになっているのですね。考えれば僅かな違いでしかないように思える形質の差。しかし、生態系という視点で見ると大きな問題を含むことになるのです。自然というのは微妙な存在でもあるのですね。