クリンユキフデとともにタデ科の花がもう一種見られました。ハルトラノオです。新潟県内では見られない種ですが群馬や長野方面の県境を越えると簡単に出会える種というイメージです。早春の花で10cm程度の小さな多年草です。
20個くらいの花を総状につけた花序です。花弁を持たずがくが花弁様になっている種とされます。タデ科にはトラノオという名前が付く種が他にもありますが類縁的には無関係で形状を虎の尾に見立てているといわれます。しかい、ハルトラノオはどうみても虎の尾には見えないのですが・・。
奥の散策路脇にユリワサビが見られました。比較的湿った場所ではありますがササ類が茂る環境です。もっとも新潟県内で出会ったことはなくあまり生態や分布を理解できていない種で、過去に例えば茨城などで観察した程度です。図鑑で知っているという種ですから図鑑に渓流沿いに見られるという記述と合わない雰囲気で生育していました。
この種も新潟県内では見られない種です。私の経験では近いところで長野、群馬の深山に行くと出会えるということになっています。タデ科の種で花の咲く時期や花の付き方などがなんとなく変わっているという印象を持っています。
長い花序の先に複数の花が房状に咲くのですがその基部の葉腋にも小さな花序ができ数個の花を見せます。こういう形質はどういう利点があるのでしょうか不思議です。同じような形質を持つ種は私の知る範囲では思い出せません。
花が奇麗なわけでもなく樹形が良いわけでもなく、とくに注目される要素のない種です。まさに地味な種。しかし、そういう控えめな存在である種でもれっきとした自然の構成要因でまだ知られていない重要な意味があるものと考えています。そういうものにも光を当てていきたいと考えています。