山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

『神社仏閣に隠された古代史の謎』

2016-06-01 21:19:29 | 読書
 50近い神社仏閣をそれぞれ紹介しながらそこに秘められた古代史の闇を拓こうとする野心作だ。
 ありきたりの寺社の紹介で分かった気がするが、ほとんどが「古事記」「日本書紀」のコピーだ。
 それによる歪められた古代史に一石を投じた作家・関裕二を前々から注目していた。

                      
 奈良・京都には何回か行ったことがあったが、この本があったら見方がずいぶん変わっていたであろう。
 観光ガイドブックを鵜呑みにしてしまったことが恥ずかしい。

       
 「清水寺」には蝦夷のリーダー・アテルイの墓があるのを初めて知った。
 「唐招提寺」の鑑真は苦難の末来日したが、実際は日本の仏教界から冷遇されていたらしい。
 「諏訪大社」は、黒曜石の産地にあり、縄文人や出雲との関係が深い、等々興味ある記述満載だ。

                       
 「結び」で作者は、大自然を畏怖する多神教日本の生き方は「達観」だと評価し、「正義」を振りかざして有史以来いまだ反目しあう西洋の一神教の独善を批判する。
 「祟り」の思想は、悪徳のモラルを修正する装置であり、それが寺社を誕生するエネルギーでもあった。
 それが西洋化により修正装置がなくなってしまったわけで、それが現代のカオス状況を形成しているということを痛感するばかり。
                   (関裕二『神社仏閣に隠された古代史の謎』徳間書店、2008/5)
 
 
コメント (2)
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