原題:『Valerian and the City of a Thousand Planets』
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
撮影:ティエリー・アルボガスト
出演:デイン・デハーン/カーラ・デルヴィーニュ/クライヴ・オーウェン/イーサン・ホーク
2017年/フランス
「B級映画」を得意とする映画監督に無謀な制作費を与えた結果について
予告編を観た限りでは美しいSF作品のようだったので期待値がかなり高かったのであるが、本作は要するに「ユナイテッド・ヒューマン・フェデレーション」という宇宙全体を統括している組織のアルン・フィリット司令官と敵方となった皇帝ハバン=リマイが率いる艦隊同士の戦闘の際に、すぐそばにあったミュール星に艦隊が墜落し、そこに住むパール人たちに多くの犠牲が出たことを知った主人公で、アルン・フィリット司令官の部下であるヴァレリアン少佐とローレリーヌ軍曹が反旗を翻したというオーソドックスな物語である。
軸となるストーリーを広げるために様々な小話を盛り込んでいるのではあるが、脚本をリュック・ベッソン一人で担っており、どのエピソードもたいして盛り上がらず、サブストーリーとなるヴァレリアンとローレリーヌの「恋バナ」も例えばミュール星のプリンセスのリホ・ミナ―と三角関係となることもなく単調な展開で、フランス映画史上最高の製作費をかけて作り上げられた映像が美しいだけにストーリーのしょぼさが残念でならない。