英題:『Sons and Daughters of the Rising Sun』
監督:藤田嗣治
撮影:三浦光雄
1937年/日本
国辱とされた日本の子供たちについて
国際映画協会の要請により日本の風俗を紹介する目的で、「子供」「婦人」「娯楽」「都会」「田園」の5作品が制作されたようなのだが、現在残っているのは「子供篇」だけである。現在、東京都美術館で催されている「藤田嗣治展」で観ることができる。
四国の松山でロケされた作品は1935年の9月に完成し、12月に完成試写会が催されたのであるが、描かれている地方風俗が外国に誤解を与え、国辱的だとして翌年1月の海外公開は見送りとなったらしい。
しかしこの8分38秒の短編映画のストーリーは友人を迎えにきた男の子や、弟に散髪させるために床屋まで送って来た姉などが「桃太郎」の紙芝居を見たことで感化されてチャンバラごっこを始めて差し違いや切腹などを演じた後に、「おもしろかったわね」という姉の言葉を合図のようにして子供たちがそれぞれ家に帰っていくというもので、日本的要素を満遍なく取り入れてはいるのである。一体、国際映画協会が藤田に何を撮らせようと目論んでいたのかは今となっては謎である。