原題:『Testről és lélekről』
監督:エニェディ・イルディコー
脚本:エニェディ・イルディコー
撮影:マーテー・ヘルバイ
出演:アレクサンドラ・ボルベーイ/ゲーザ・モルチャーニ/レーカ・テンキ/エルヴィン・ナジ
2017年/ハンガリー
「生」のシーンと「生」に慣れる方法について
本作の白眉は演出が施されていない対の鹿のシーンと食肉処理場のシーンを使用していることで、この対照的な「生」のシーンに挟まれて食肉管理士のマーリアと工場長のエンドレの恋愛模様が描かれることになる。
エンドレは既に新たな出会いを諦めている中年の男で、マーリアは抜群の記憶力を持っていることからサヴァン症候群を患っている女性で、対人関係を苦手としているのであるが、エンドレの期待に応えようと、携帯電話を買ったり、相手の体に慣れようと動物や色々なものに触ったり、店員に勧められたCDを購入したりする。
しかし元々人間関係を築くことが苦手な2人の気持はすれ違い、食堂でエンドレにかけられた言葉でマーリアは自分はフラれたと思い、さらにCDショップで「恋愛用」として購入したローラ・マーリングの「ワット・ヒー・ロウト」の最初の方しか聴いていなかったので、誤解して自殺を試みたのである。以下、和訳。
「What He Wrote」 Laura Marling 日本語訳
ヘラ神よ、私を許して欲しい
私はここにはいられない
彼が私の舌を切ってしまったから
私は何も言えないの
神よ、私を愛して欲しい
私は彼に捨てられた
彼は私の罪をあざけたのだ
彼の腕の中から私は出てはいけないのだ
彼は手紙を書いてきた
「僕は打ちひしがれてしまったから
どうか僕を迎えに来て欲しい」と
でも私も心身ともに疲弊してしまい
婚約したのだから
私を誘惑しないで欲しい
彼女の肌は白く
私は太陽のように明るいのだから
神聖な光はあなたがこれまでしたことを輝かせ
私は彼にどのようにしてあなたは男になったのか訊ねた
彼はどのようにして果実を掴む方法を学んだのだろうか?
あなたに名前を与えたキリストはどこにいたの?
そばにいて欲しいと私は頼んだけれど
彼は行かなければならなかった
私が光を必要とした時には一人にして欲しかった
私は跪いて人生を嘆いた
もしも彼が留まっていてくれたならば彼は分かってくれただろう
もしも彼が留まっていてくれたならば
決して私の手を取ることはなかっただろう
彼は手紙を書いてきた
「恋人よ
どうか僕を迎えに来て欲しい」と
でも私も心身ともに疲弊してしまい
婚約したのだから
私を誘惑しないで欲しい
あなたに名前を与えたキリストはどこにいたの?
そばにいて欲しいと私は頼んだけれど
彼は行かなければならなかった
私はよそよそしくぎこちない感じで彼を掴んで行かないでと懇願した
この船の光のそばにいて欲しいと彼に懇願した
私は彼と喧嘩をした
まるで新たな喧嘩の始まりのような喧嘩で
波が押し寄せると彼を飲み込んでしまい彼は戦争へと連れていかれた
彼は手紙を書いてきた
「僕は打ちひしがれてしまったから
どうか僕を迎えに来て欲しい」と
でも私も心身ともに疲弊してしまい
婚約したのだから
私を誘惑しないで欲しい
ヘラ神よ、私を許して欲しい
私はここにはいられない
私の舌を切られてしまったから
何も救えない
神よ、私を愛して欲しい
私は彼に捨てられた
彼は私の罪をあざけたのだ
彼の腕の中で私は言わなければならない
私たちは手紙を書く
「大丈夫よ」
私は彼の匂いが恋しい
話しかけられれば私たちは話す
それが私たちには合っている
それが私たちには合っている
それが私には合っている
Laura Marling - What He Wrote (Music Video)