原題:『未来のミライ』
監督:細田守
脚本:細田守
出演:上白石萌歌/黒木華/星野源/麻生久美子/吉原光夫/宮崎美子/役所広司/福山雅治
2018年/日本
不明瞭なミライの過去について
今のところ評価が分かれている作品で、個人的にもストーリーがいまいちスッキリしない感じが残ったままなのであるが、その原因を探るためにあるシーンを取り上げてみたい。
地下新幹線ホームで迷子になっていたくんちゃんをセーラー服姿のミライちゃんが助けにきて一緒に空に飛び立った後、草原にある一本の木のてっぺんから2人は突っ込んでいく。それはいわゆる彼らの「家系図(Family Tree)」で、2人は一緒に自分たちの家族の過去を振り返ることになる。
そこで曽祖父と曾祖母の馴れ初めが描かれているのであるが、このエピソードがいまいちよく分からないのである。曽祖父は曾祖母に対してかけっこで勝ったら結婚してくれるように求め、2人はかけっこを始めるのであるが、曽祖父は戦争時の後遺症で脚が不自由なのである。もしも曾祖母がそのことを知った上でかけっこをしたとするならば競争の途中で走るのを止めるはずはなく、かけっこの途中で初めて知って呆然と立ちつくしたとした場合、プロポーズするくらいなのだから曽祖父の脚が不自由であることを知らないほど2人が疎遠であったはずもない。小さなエピソードなのであるが、ストーリー全体がこのように詰めが甘いような気がするのである。