原題:『あまろっく』
監督:中村和宏
脚本:西井史子
撮影:関照男
出演:江口のりこ/中条あやみ/松尾諭/中村ゆり/中林大樹/駿河太郎/久保田磨希/高畑淳子/佐川満男/笑福亭鶴瓶
2024年/日本
ある種の「ディザスタームービー」について
そもそもタイトルの「あまろっく」とは「尼ロック」と綴り、兵庫県尼崎市を洪水から守るための建設された「尼崎閘門(こうもん)」のことを指している。そこで暮らす金属加工の工場を営む近松家の1994年と2015年と2023年の変遷が描かれているのである。
本作を観て気がついたのであるが、子供の頃は大人の事情は分からないし、娘の優子が京都大学に進学してしまうと実家を離れてしまうので両親と言葉を交わす機会も減ってしまうだろうし、母親が亡くなってしまうと娘がリストラに遭って実家に戻ってきたとしても父親と二人だけでは会話が弾むこともなく、結局、お互いのことは何も知らないままになってしまうことは想像に難くない。だから父親の竜太郎が「俺は家族のあまろっくや!」と口癖のように言っていても優子にはその真意が分からず、冗談のように響いてしまうのは致し方がないと思う。
とかくスベリがちなコメディ作品の中で本作は関西弁によるギャグの歯切れが良かったと思う。