前作『ルパン三世 PART5』はネットをツールとした「ルパン・ゲーム」という「捕物劇」で悪くはなかったものの、語りの不自由さを感じていたが、『ルパン三世 PART6』は再び一話完結で、描線もタッチも今までのシリーズの中で最もバランスが良いと個人的には思う。
第4話の「ダイナーの殺し屋たち」は奇妙な作品で、前半はダイナ―に入ってカウンターに腰かけた2人の男性客と1人のウエイトレスがただ会話をしているだけのシーンなのだが、好きな映画監督を訊かれたウエイトレスはアキ・カウリスマキ、ラース・フォン・トリアー、アンジェイ・ズラウスキーの名前を挙げる(因みにウエイトレスが読んでいた本はアーネスト・ヘミングウェイの『女のいない男たち(Men Without Women)』という短編集なのだが、同タイトルの短編小説集を村上春樹も出版している)。
後半はダイナ―で銃撃戦になった原因が明らかにされる。パリに滞在中のアーネスト・ヘミングウェイが一晩で書き上げた短篇小説「殺し屋たち(The Killers)」をパリのシェイクスピア書店(Shakespeare and Company)が最初に出版したのだが(その後『女のいない男たち』に収録された)、その稀覯本に当時CIAの前身であるアメリカの戦略事務局(OSS/Office of Strategic Services)の局長だったアレン・ダレス(Allen Dulles)が著名人たちの秘匿情報をコードブックとして隠しており、その本の争奪戦だったのであるが、ストーリーはこの「殺し屋たち」のメタフィクションとして展開していくのである。
前半の最後でこの3人がルパン三世、次元大介、峰不二子とわかるのであるが、前半まで主人公たちを登場させないという大胆な脚本を誰が書いたのかエンドクレジットを見て押井守と分かり、やっぱり相変わらず尖がっており、善し悪しはともかくとしても相変わらずヒーローもののアニメーションは富野由悠季、押井守、庵野秀明の三人で回しているような状況ではある。
THEME FROM LUPIN Ⅲ 2021[Live Music Video]| ルパン三世のテーマ2021 (Special Studio Session) | Full Size【公式】
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/av_watch/trend/av_watch-1364204