今から10年以上前、北陸を旅した時に「旬の鰤」を食べてあまりの美味しさに言葉を失った。その後、やたらと能書きを言う中国地方の割烹で鰤の造りを何度も試してみたが、どれひとつとして「あの味」を超えることはなかった。
鰤は捌いて半日もすれば血合いの色がどす黒く変わってしまうという欠点があり、料理人泣かせの魚である。やはり水揚げ地と同じ味を地元に求めること自体がそもそも間違いなのだろう。
私は「造りをアテにして酒を飲む」よりも「塩焼きで飯を食う」のが好きである。家では煙と臭いを気にして照り焼きにすることが多い。フライパンで調理するので片付けも楽だ。
鰤に塩をしてしばらく放置し脱水する。水気をペーパータオルで拭き取って小麦粉を塗し、サラダ油を入れて熱したフライパンに移し焼き色を付ける。油を捨ててから味醂醤油を加えて全体に絡ませて出来上がり。
メイラード反応によって生じた香りのみでご飯が食べられるほどだ。
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