フジグラン広島店の建て替え工事を見て愕然とする

平和大通を横断し中区宝町に入った私は愕然とした。町の顔とも言うべき大きなフジグラン（私が広島で暮らしていた頃はただのフジだった）が消え失せていたのである。

ＪＲ西条駅前のフジグランが更地になっているのを見た時よりもはるかに衝撃が大きかったのは極めて思い入れの強い建物だったからだ。私はほとんどここで食料品を調達し自炊をしていた。価格は決して安くなかったが、単行本や衣類など欲しい物が何でも手に入った。田舎から出て来た男は「広島は本当に便利な街だな」と口にしては関西の友人らを苦笑させた。

昭和６２年のビリヤードブームを懐かしむ

平和大通から宝町方面を望む。私の記憶が正しければセブンイレブンの入っている場所は昔ビリヤード場だった。昭和６２（１９８７）年の話である。前年の暮れに公開された映画「ハスラー２」が大ヒットし日本にビリヤードブームが巻き起こり、広島市中区にも相当数の玉突き場が出来た。

大学の体育で卓球を選択した私が唯一楽しんだスポーツがビリヤードだった。まだマージャン狂にはなっていなかったので秋から冬にかけて９ボールをよくやった。しかしブームは長続きしなかった。翌年には早くも陰りが見え始めていたことを私は久しぶりに思い出したのである。