ご存知の方も多いと思われるが、日清食品のカップヌードルには廉価版のスープヌードルというものが存在する。
カップヌードルが俺の近所のディスカウントショップでの実売価格で¥120前後なのに対して、スープヌードルは¥88ナリ。(※時々チラシ商品としてカップヌードルを¥100とかで売っているときもある。カップヌードルは¥155[2008.1まで]→現在¥170。スープヌードルはメーカーの定価というものはないようで、オープン価格となっているそうだ)
日ごろよりジャンクフードにお世話になっている俺としては、この二品の間に如何なる違いがあるのか気になるところである。
もちろん両品とも食した事がある。それどころかカップヌードルは遥か昔から定番として慣れ親しんでいるし、スープヌードルもいつも行くディスカウントショップに並べられているので、当然の如く結構な数を消化してきているのである。
だが、味覚オンチな俺にゃ味の違いがワカランのよ。
日清食品のカップヌードルは1971年に発売された。
初めてカップヌードルを口にした時の感動は、今でも記憶に新しい。
30歳以下の方々にはご理解いただけないかもしれないが、我々以上の世代にとってはカップヌードルの味は正に未知の世界。カップヌードルを口にするのは天空に昇る思いであったのだ。
一緒に遊ぶ友達が「昼ごはんがカップヌードルだった」となど言おう物ならば、俺の嫉妬心は限りなく高まり、彼の所有するスーパーカー消しゴムは強引に俺の手中に来なければならなかった。
対するスープヌードルシリーズは2006年3月20日に「バリューカップシリーズ」として、後述のスープヌードル3種と、「ほんうどんきつね」、「天ぷらそば」、「焼そばカップ・ソース焼そば」とともに発売された。
メーカー曰く、「カップヌードルシリーズの味をより多くの皆様に楽しんでいただくためにカテゴリーボーダレスな新価値提案商品として、めん・具材をライトに仕上げたスープ感覚の新ヌードル、スープヌードルシリーズを開発」・・・とあるが、簡単に言えば価格設定を低くして底辺を広げようという事のようだ。100円ショップの商品となり得るという見込みもあったのかもしれない。カップヌードルシリーズは今年(2008年)の1月に17年ぶりの値上げをして話題に上ったが、値上げによって空白となる低い価格帯のものを補填するつもりだったのかについては不明。まあ2年近く時期がズレているので因果関係は無いだろう。
メーカーの説明によると麺とスープは、基本的に同じ物なのだそうだ。ただし麺はカップヌードルの65gに対して50g(発売当初のメーカー資料には55gとあるが、現在売られている物は50gと表記がある)と、量が少ない。そして具も少ない。逆に、スープヌードルシリーズにある「100%植物油フライ」の文字はカップヌードルシリーズには無い。単なる廉価版じゃないぞってトコロだろうか。
ちなみに日清食品はカップヌードルに代表される縦長のテーパーカップの即席めんを「タテ型ジャンル」と呼んでいるようだ。
ドンブリ形状のカップよりも「タテ型」のカップのものは、仮にうら若き魅力的な独身女性が食べている場面を目の当たりにしても、幻滅するレベルはドンブリ型の物と比べてかなり低いと言える。確かにスタイリッシュなカップラーメンとして区別をするべきかもしれない。
昔からCMには力を入れていて、社会に問題提起するかのような話題性の高い作品もあり、すでにCMという枠を超えていると感じる。
商品もたゆまぬ進化を続けている。40年近い歴史を持ちながら時代に合わせて攻め続けるその姿勢には脱帽物である。
特にカップヌードル・リフィル(詰め替え式)などは斬新なアイデア。カップ麺ならではの手軽さは薄れてしまうが、カップ麺で地球環境を救おうとするその姿勢は、走行中のクルマの窓から吸殻を捨てるアホに爪の垢を煎じて飲ませたいものだ。
さて。俺は美食家と呼ぶには程遠く、腹が減っていれば何でも食い尽くす、節操のない男である。そんな俺が今更何を語ろうというのか・・・?
いや、味の違いが判らぬ男だからこそ、直接食べ比べてみようというのである。
カップは同時に封を切り、極力2品種にタイムラグ無きようにお湯を注ぐ。
カップヌードルとスープヌードル。
見た目からして明らかに具の量が違う。カップヌードルには多く入っている肉は、スープヌードルのカップ内には極端に少ない(お湯を掛けると崩れてしまう様に感じる)。
味はというと、ナンと結構違う事が判明。カップヌードルのスープのほうが濃厚で、肉の味が強い。かといってスープヌードルが物足りないというほどのものでもない。まあこの手の食品のキャラクターを考えるとスープヌードルで充分かなというところ。
フタに書かれている原材料を比べる限りではカップヌードルの「味付卵」に対してスープヌードルでは「卵」、「味付えび」に対して「えび」、カップヌードルにある「デキストリン」(澱粉の加水分解によって得られる食物繊維…なんのコッチャ)がスープヌードルには入っていないこと、逆に粉末メンマはスープヌードルのみに入っているようだ。
また原材料名の書かれた順番が異なる。これはJASの規定かナンかで使用した重量の多い順に書かなければならなかったと思うので、単純に味を薄くしたというわけではないという事だろう。具の原材料とは別に記載された麺の原材料についても、記入された順番が異なっている。もしかすると麺も微妙に異なるのかもしれない。
次はカップヌードル・カレーとスープヌードル・カレー。
やはり具の量は違う。カップヌードルと同じ手順で湯を注ぎ、3分後によくかきまぜる。カップの底でカレーが沈殿してしまうのは、カップヌードルジャンキーな方々であれば当然ご存知であろう。
二種類のカレーヌードル、ほぼ味に違いが無い。目隠しをしても判別が困難なほどだ。強いて言えばカップヌードル・カレーの方が肉っぽい味が微かに漂っている気がするが、俺には問題にならない。コレはカレーの風味によって、その他の味がかき消されているためと思われる。
金額も含めて評価するならば、間違いなくスープヌードル・カレーは「買い」である。
原材料名も記入された順番は異なる。(ちなみに麺はデフォルト・カップヌードルとも異なり、カレー専用の麺のようだ)
前出の怪しい名前の「デキストリン」とやらはやはりスープヌードル・カレーには入っていない。その他「酵母エキス」、「コーンパウダー」もそう。カップヌードル・カレーに書かれている「魚介エキス」はスープヌードル・カレーでは「カツオエキス」となり、スープヌードルカレーだけに入っているものとしては「チキンエキス」、「卵粉」、「フルーツペースト」。
最後にカップヌードル・シーフードとスープヌードル・シーフード。
今回食べ比べた3種類6品目の中で、最も両者の味が異なるのがこのシーフードである。正直、明らかにカップヌードル・シーフードのほうが旨く感じられる。具の量や種類から来る物なのであろうが、ここまで違うのは正直驚きである。とはいえ、直接食べ比べなどしなければスープヌードル・シーフードも空腹を満たすには充分な存在である。
味の違いとは裏腹に、カップヌードル・シーフードとスープヌードル・シーフードの原材料の違いは比較的少ない。
気になる存在の「デキストリン」とやらはやはりカップヌードルだけの物となっている。あとは「味付卵」に対しての「卵」、でん粉・酸味料の有無。逆にスープヌードル・シーフードに入っている「豚ゼラチン」はカップヌードル・シーフードには含まれていない。
最近になって「カップヌードルシリーズ」のみECOカップに切り替わった。従来のスチロール製ではなく、発泡ポリエチレン断熱皮膜加工の紙カップなのである。
今回、依然としてスチロールカップを採用しているスープヌードルと同時に食べ比べた事により、カップの差が出る事となった。
それは、紙カップはスチロールカップよりも保温性が劣っているという事である。スープが半分以下になると、スープの温度に差が出始める。食べ終わる頃にはそれがかなりの差となってしまうのであった。
既に20度を超える気温のなかでこの状態なので、冬場ともなると相当な差となりそうだ。出来上がりを待つ3分間の間にも温度が下がってしまうかもしれない。
ちなみにお湯を入れた後の重量はほとんど変わらない。
一時的な空腹を満たすだけであればどちらも条件は変わらないという事である。
ウップ…