雨も無く積乱雲の九月なり
仰ぐ空夕焼け発の里の秋
また一人落ち栗まだかと人の来る
八朔に病葉ちらす山桜
かじられて数多転がるリンゴ畑
釣瓶老いしと言えど口答うるさかり 水原秋櫻子
目に余る島ほっといて恥じ勝つ世 素堂
しょんぼりと秋の空見る理不尽さ 鬼貫
渚鳴る白波見えた悪夜かな 高浜虚子
雪の肌ニタリニタリと下衆の顔 捨女
フィールド脇にあるリンゴ園にはリンゴが一個もついていない。色付く前にすべて食害されたのだそうだ。先日には、捕獲されたハクビシンを見る事が出来たが、アライグマは居ないと思っていた。後日、リンゴ園のご主人に伺ったら、アライグマも捕獲した事はあるそうである。
狸は昼でも歩いているのを見かけるが、狸は食害するのかどうか確認しなかった。何回か見た狸は多くの体毛が抜け落ちていてみすぼらしい姿だったけれど、おそらく皮膚病にでも罹患していたのだろう。
写真のハクビシンとアライグマは兄の畑で捕獲された千葉県産の個体だ。小生の手元にはご当地産の写真がないから拝借した。
リンゴ園のリンゴは数種類の品種がある事は、果実からうかがい知れたが、どの樹も矮性台木のリンゴだから、青森や長野のリンゴ畑のような姿にはならない。我が家の二本もそうなので判るのだが、どうしても樹勢は活発ではない。大きくならない細工は生理的活性も落とすようだ。
誰か誰かと陣笠隠し
永田に逃れ日は沈む ハア コリャコリャ 渇 会衆
ペルシャ湾まで泳ぎに出ても
沖はあやふや放置国 ハア コリャコリャ 自詠鯛
陸は宣教海なら漁船
守るを盾に国を獲る ハア コリャコリャ 蟻馬場
善知識海容国家となりにけり 海厭隊
口元に指をあてがうシーライン 逆本凌間
火遊びで済まぬ亡国狂賛徒 柴臣
アポフィスのくぐつなりたり未熟者 トロル
四方うみ国境線は波枕侵犯法もまた夢枕 乃木大将
血気のみ成熟無縁のかの国に更に劣るやこの国の稚児 不和雷童
国守る水の石垣放水銃海去るまでは艦でほこたて 賛雄志
アキアカネ翅はきらめく碧き空
十年で千分の一アキアカネ
これやこれバッタ追われて刃の真先
テレビより虫の音がよし二度わらし
雲は夏尾花萌えでて秋到来
帰り際、水見回りで泥水池に寄った。トンボ池への取水管入り口を清掃して、何気に横を見たらイトトンボがいる。かって見たことのない小ささである。どうみても体長は30mm程度だ。
小さいトンボ=ハッチョウトンボの認識だったので、イトトンボであったことに驚きがあった。動かないで観察していると産卵のための場所を探しているようだった。気に入った場所だったのか、尾の先端を水中に差し入れて茎に産卵し始めた。産卵しながら頭部まで水中に入ってしまい、そのまま産卵を続けている。
随分と長い間、水中に留まっていたが、全身水中に没したトンボの産卵も初見である。産卵しているので、オスも存在していたのだろうが発見できなかった。図鑑と照らし合わせ、体長と体色からセスジイトトンボではないかと思ったものの違うかもしれない。
小生にとって、名前がどうと言うより「体長30mmのトンボの存在」が重要なのである。泥水地を築いて「良かった!」と思えた一瞬だ。ハッチョウトンボは18mmだという。信じられない大きさである。
故郷は遠い記憶の彼方なりこの風景は他人の空似
仏壇の前で寝た夜忍び泣く添い寝る母の寝息に寝入る
開け放ち畳で昼寝る父母の午後の畑は星の出るまで
稲を刈る手を休めては遠く見る昼餉を背負う母は点でも
田の泥を洗いつシジミを漉き採りし小川もう無く田んぼは宅地
刈り払う場所も気楽に作業できる環境と、ピリピリしながら作業する環境がある。今日はピリピリせざるを得ない場所の刈り払いだった。
散策道からの駆け上がりで竹林に続く、いわゆる林縁部に相当するが、実生樹帯として保育している場所である。刈り払い回数が少ないから今回は背丈に近い藪の様相になっていた。
竹林の斜面には除伐した孟宗竹の集積が随所にある。ここはまたオオスズメバチの好む営巣環境でもあって、過去何度か巣の処理をした。
だから蜂に注意しながら造林鎌での刈り払いとしたのである。刈り払い機を装着していては、イザと言う時に一目散とはいかない。スズメバチに出会う事は無かったけれど、虻の羽音にピリッとするし、アザミやバライチゴの棘にも「やられた!」とビックリしながらの作業だった。
夏の間、水筒に入れるために用意した梅干も、そろそろ出番が無くなる。使い切りたいから昆布と佃煮にした。
昆布は「田んぼ復旧ボランティア」で南三陸町に通っている知人から分けてもらった品である。水揚げされて間もない南三陸町産だけれど肉厚で、茎の部分は別にして食べてみたが、歯切れも歯ごたえも気持ちの良い昆布だった。
小生、復興ボランティアとして参加はないけれど、食べることはする。味醂、醤油、砂糖、酒をレシピどおりに加え煮込んで出来上がりだ。美味しくできたが「レシピどおり」と言うのが気に食わない。そこで唐辛子1本のところを、辛くて収穫しないシシトウ二本を入れた。
こういうのを「天邪鬼」と言うのだろうか…。