手元に残した大生姜2㎏を使って生姜糖を作った。今季の収穫は6㎏ほどだったが、「欲しい」と乞われて自分で使う分を残してお裾分けした。まあ、仲間内ではこんなものなのである。
拠点の坪畑は連作障害で種生姜の重さも取れなくなって玄関前で栽培したのだ。そこそこ出来るのが分かったから冬の間に土を入れ替えて次の栽培に備えるつもり。
さて、雨の日が続いて「生姜糖を作らねば・・・」とホームセンターまで開店を待って出かける。欲しかったのはスライサーで、厚みを調節できる品があったのだ。前に見ていたけれど値段が表示されていず買わなかったのだった。無駄な抵抗だと判っていても躊躇がある。
包丁で済むスライスであることは十分承知で、今までは包丁で済ましていた。ところが一昨年のスライスで生姜だけでなく小指の先まで刃を入れてしまったのだった。「痛い!」と感じる間もなく「ゾワゾワー」と刃が入っていく感じをいまだに忘れない。時間にしては一瞬のはずだが、包丁の刃が入っていく過程が認識できたスローな時間旅行だった。
当然、包帯でぐるぐる巻きし、救急へ行ったのだったが外科の先生はおらず内科の研修医だった。「つかない可能性もありますけど」なんて言われても縫合をしてもらうしかなかったのだった。まあ、幸いにも皮一枚だけでも残っただけ良かったようだ。
それに懲りてスライサーを使うことにしたのだが3千円余、で出費があっても指を詰めるよりはマシというものである。使ってみれば苦労いらずで早い事早い事、薄皮の清掃時間ほどもかからなかった。
しんなりし嵩減りするまで鍋二つを使い蒸す事15分、そのあと保温調理鍋で2時間保温してから砂糖液で煮詰めた。使った砂糖はテンサイ糖とキビ糖で白砂糖は使わなかった。テンサイ糖はオリゴ糖とミネラル、キビ糖にはミネラル分を求めたのだ。夕食を早めに済まし煮詰める事2時間あまり、この間はガス台前に立ちっぱなしでおこげ防止だ。蒸した後、天日干しをすると有効成分が強力になるとかいわれているから「右倣え」なのだが、実感はかって一度もないし天候不順で諦める。
煮詰めたあと、金網にひとつひとつ並べ天日干しをしたかったのだが生憎数日晴天が望めない。浴室乾燥機で水分を飛ばそうと思ったものの、浴室内にいるだろうカビの付着が気になって扇風機で3昼夜風に当てた。天候が回復すれば二日ほど天日干ししてから保存したい。白砂糖ではないから濡れている時はレバーか砂肝風の色合いで見た目のご馳走感は無い。所詮自己消費なので見栄も無く実用性オンリーである。
作った生姜糖は日々の山行きの魔法瓶に入れて暖かい飲み物として携行する。寒い時期は生姜糖を入れた生姜湯が身の丈に合うのだった。
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風乾3昼夜 ➡
天日干し ➡
切干芋風
天日干し2日はならなかった快晴になった日に5時間ほど干した。完成重量を量ると1.1㎏しかない。思わず「なんでこうなるの!?」とつぶやいてしまった。生姜2㎏は乾燥させ水分が抜けたから軽くなるのは理解できても加えた砂糖は1.2㎏だったはずで、砂糖の重さより軽くなった出来上がりは「?」でしかない。もうミステリーで宮部みゆきの世界になった。