障害者を一般企業や官庁に雇用する動きが広まっている。その法的な根拠となるのが「障害者雇用促進法」だ。企業・官庁は、本音では障害者の受け入れに負担感を感じているはずだ。だが、法令による雇用促進とあっては拒否することは難しい。
とりわけ、官庁は率先して範を垂れなければならない。その結果、「障害者枠」という特別枠を設置して職員を採用している。 だが、障害を持つ職員が実際の職場に配属された場合、当該職場には多くの困難が生じる。ほとんどの場合、障害者職員は、出先の事業所に配属される。人員カットが続く現場では、そうした職員は”即戦力”とならず、職場全体の”重荷””お客さん”となってしまうことが多い。
「障害者雇用促進法」→「障害者の採用」→現場への配属→現場の破綻
こういうケースが多いのではないか。これは、当事者である障害者にとっても不幸なことだ。「仏を作って魂入れず」では困るのだ。障害者の真の自立を促すような方策を考えるべきだろう。
現実には企業・官庁の人事当局は、障害者を厄介者扱いし、現場に厄介払いしている。当の障害者には、自立という意識が希薄である。こういう現状が、さまざまな問題を引き起こしているのだ。
障害者が原因で引き起こされる問題は、必ず隠蔽される。当人の責任にはならず、現場の責任者をやり玉に挙げ、”トカゲのしっぽ切り”になるのが常だ。これは、人事当局が障害者を厄介者扱いしている証拠であり、障害者問題に関わることを恐れる体質があることを示している。障害者問題は”パンドラの箱”。障害者は、飾り棚に飾っておこうということか。