澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「アジア主義」を読む

2007年08月03日 03時00分36秒 | 
ベトナム・フエの王宮の廃墟に立って、ふと思い出したのが「大東亜共栄圏」という言葉だった。ベトナム人にとって、フランスの植民地支配は、忌まわしい記憶に違いないのだが、その影響は各所に残っている。フエの白人観光客の多くはフランス人だったし、ホテルで食べるフランスパンはとても美味しかった。
そのフランス人を、いったんはベトナムから駆逐したのが日本人だった。そのときのイデオロギーが「大東亜共栄圏」というわけだが、戦後、これに触れるのはタブーとなってしまう。右翼以外は使わない言葉となってしまったのだ。

そこで、「アジア主義」関係の本を再読しようと思った。まず、廣松渉「<近代の超克>論~昭和思想史への一視角」(講談社学術文庫)を読み始めた。この著者の名前は、団塊の世代前後の人なら聞き覚えがあるはず。「東大紛争」のときに、全共闘を支持して有名になった東大の先生だ。現実を必要以上に、深刻ぶって考える人だったようだ。

読み始めて感じたのは、「哲学」や「思想史」にも「賞味期限」があるのだなぁということ。大仰な表現や古色蒼然とした文章展開が、なんとも時代を感じさせてしまう。若い人なら、多分投げ出してしまうだろう。「問題意識」自体が、この情報化時代・コンピュータ時代には、全くそぐわないのだ。

これを読んだら、次は「竹内好」にとりかかる。「竹内好全集」を持っていたことも忘れていたのだが、どうせ古本屋では二束三文だろうから、鉛筆で線をを引きまくって読もうかと思っている。「本」は財産なんて、昔、誰かから聞いたが、全くでたらめですね。

石原莞爾や大川周明も読もうと思う。この夏は「アジア主義」のロマンを追究するつもりだ。