澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

「歴史は眠らない 沖縄・日本 400年」のトンデモ内容

2010年07月13日 06時24分27秒 | マスメディア

 たまたまNHK TV「歴史は眠らない 沖縄・日本 400年 琉球王国から沖縄県へ」※を見た。

※ http://<WBR>www.nhk<WBR>.or.jp/<WBR>etv22/t<WBR>ue/

 第2回「琉球王国から沖縄県へ」は、番組HPによれば、次のような内容だった。

「 在日米軍基地の移設問題に代表されるように、様々な苦しみを抱える沖縄。しかし沖縄の人々の想いと苦しみは、400年の歴史を遡らなければ見えてこない。
江戸時代、幕府の威を借りた薩摩藩が武力によって琉球王国を攻略したことから、今日に続く琉球(沖縄)と日本の関係は始まる。薩摩は琉球を明との交流の道具として利用しようとする一方、「異国」として「江戸上り」を強要する。琉球は中国と日本に服属する不思議な「日本の中の異国」となるのである。その後、日本は近代国家になる際に琉球処分を行い、沖縄県を設置し琉球王朝は解体された。
番組では、沖縄が苦しい歴史を背負うに至ったのはなぜか。何が出発点で、どのように今に受け継がれてきたのかを、琉球沖縄と日本の関わりの中から
みていく。 」

 小森陽一・東大教授(日本文学)が関わっている番組だが、奇妙なことに次回の番組は延期となったという。その理由が番組HPには、次のように書かれている。

「「沖縄・日本400年」の第3・4回の放送は延期します。
第3・4回では、明治時代から沖縄返還に至るまでの近現代の沖縄史をとりあげる予定でした。
しかし、取材を進めていくうちに、資料の検証に相当な時間がかかることが分かり、放送日を延期して、さらに取材を深める必要があると考えました。
予定通り放送ができなくなったことを深くお詫び申し上げます。
秋以降、なるべく早い時期の放送をめざしています。放送時期が決まりましたら、テキストや番組ホームページで事前にお伝えします。 」

 また、この小森教授の経歴については、番組HPで次のように紹介されている。

小森陽一(東京大学大学院教授)
1953年、東京都生まれ。国文学者。専門は近代日本文学。小中学校時代の数年間を、日本共産党員だった父親の仕事の関係で、チェコスロバキアのプラハで過ごした経験を持つ。北海道大学文学部卒業、同大学院修了。夏目漱石研究、ポストコロニアル研究、また、憲法9条の改正に反対する「九条の会」の事務局長としての活動も知られている。」

 第2回を見る限りでは、琉球国からの視座で、清国との朝貢関係、日本による琉球処分を採り上げた。歴史的事実については、史実の捏造は見られないものの、ナレーションの印象と使われた映像や音楽を重ね合わせて考えると、近代日本という国家に対するある種の「嫌悪感」がはっきりと伝わってくる。「軍備を持たない」「平和な」琉球国が、清国との「国際交流」もうまくいっていたのに、ある日突然、近代的軍事力を整えた明治日本に制圧されたと言いたいかのようだ。そして、このような歴史認識を、現在の「基地を抱える沖縄」「内地から差別される沖縄」に結びつけ、現代日本の政治状況を批判することに力点を置いているようにも見える。
 だが、東アジアの伝統的秩序である華夷秩序について詳しく説明することもなく、「西洋の衝撃」(Western Impact)について語ることもない。要するに、琉球が近代日本に併合された時点での国際環境の説明が不十分なのである。西欧列強が非西欧世界を次々と植民地化し、その終着の目標が日本だったという、当時の緊迫した国際関係に関する基本認識が欠けている。
 そこを詳しく説明すると、どうしても明治政府が採った「琉球処分」がやむを得ない決断であったことが浮き彫りになってしまうからだろう。あくまでも、小森氏は、現在の「人権」感覚で明治政府を断罪したいようなのだ

 この番組の第3・4回が何故延期になったのかは分からない。上記の延期説明を見る限りでは、何か重大なクレームかトラブルがあったとしか考えられない。ただ、NHKは、どうしてこんな番組ばかりを放送するのだろうか。「JAPAN デビュー」の第1回「アジアの”一等国”」は、今も視聴者による「偏向番組訴訟」が行われている。

 現代中国の歴史観と版図意識によれば、琉球は「中華帝国」の一部であったとされている。まさかと思うが、「護憲運動」を自ら展開する東京大学教授をホストに仕立て上げ、琉球は元来日本ではなかったと中国向けにアピールするのがNHKの目的だったのではないかとさえ思えてくる…。
 戦争を知る世代が少なくなるにつれて、歴史認識もまた曖昧になる。本来であれば、公共放送であるNHKがきちんとした番組作りをしなければならないのに、この体たらく。どういう人がNHKの番組ディレクターなのか、詳しく知りたいものだ。